・・・2019年5月にスタートした堺・山之口商店街「玉手箱プロジェクト」、そして2020年1月からの「氣になる玉手箱展」。このプロジェクトの今後を考える上で、とても重要な機会でもあります。まず頭に浮かんだのが「持続可能」という言葉、これまでも「継続は力なり」と言われてきましたが、「持続」と「継続」の違いは?
《「持続可能な社会」という理念》環境省Sustainable Development, SD
地球上では、多様な生物や大気、水、土壌などが有機的に結びついて物質循環を支えており、人類もまたその中でしか存在しえないこと、そして、特に近年の人類の営みは、大気や水、土壌などを汚染し、生態系とその基盤である生物多様性に対して大きな打撃となっていることを第2章で見てきました。地球環境が無尽蔵で無限なものではないという認識も、多くの人々に広まりつつあります。地球の物質循環や生態系の破壊、ひいては人類社会の破綻を回避するために、私たちは、地球という有限な器の中で★「持続可能な社会」を築いていかねばなりません。
「持続可能」という理念は、★1987年「国連の環境と開発に関する世界委員会(WCED)」の最終報告書「地球の未来を守るために(Our Common Future)」(いわゆる「ブルントラント報告」)において提唱されました。ブルントラント報告では、「持続可能な開発」とは「★将来の世代のニーズを充たしつつ、★現在の世代のニーズをも満足させるような開発」を言うとされています。以来、「持続可能な開発」という考え方は世界中で広く用いられるようになり、1992年の国連地球サミットではこの考え方を基に「環境と開発に関するリオ宣言」や「アジェンダ21」が合意され、今日の地球環境問題に関する世界的な取組の基礎となっています。平成18年4月に閣議決定された第3次環境基本計画においては、持続可能な社会は「健全で恵み豊かな環境が地球規模から身近な地域までにわたって★保全されるとともに、それらを通じて国民一人一人が幸せを★実感できる生活を享受でき、将来世代にも★継承することができる社会」と定義されています。これを実現する上では、1)地球に存在する資源の制約の問題と2)人間活動によって排出される汚染に対する自然のシステムの処理能力の問題について考える必要があります。鉱物資源、化石燃料などの資源は有限です。資源の安定供給を確保する観点からも、使用量の削減、回収・リサイクル、代替材料開発、再生可能資源活用などの促進が重要です。例えば金属資源は、再利用可能であり、合理的に循環して利用する必要があります。また、化石燃料については、太陽光エネルギーやバイオマスなどの★再生産が可能な資源に代替していくことが必要です。2)は、人間活動によって排出される汚染物質量が大気、水、土、生物などで構成される自然のシステムの★処理能力の範囲を超えてはならないということを意味しています。例えば、現在、人間活動により排出される二酸化炭素の量が森林等による吸収量を超えていることが、地球温暖化の大きな原因となっています。自然のシステムの処理能力を踏まえた二酸化炭素排出量の削減が不可欠です。
※「持続可能な発展」と訳されることもある。また、持続可能な開発が行われ持続可能性を持った社会を、持続可能な社会と言う。人間活動、特に文明の利器を用いた活動が、将来にわたって持続できるかどうかを表す概念であり、エコロジー、経済、政治、文化の★4つの分野を含むものとされる。経済や社会など人間活動全般に用いられるが、★特に環境問題やエネルギー問題について使用される。
・・・「環境問題」「エネルギー問題」は、常に意識して取り組んできた内容です。
※世界遺産における持続可能な開発
ユネスコ世界遺産は知名度が高いため、そこでの持続可能な開発の実践は関心を集めやすい。もともと世界遺産条約の条文に持続可能な開発・発展に関する文言の記載はないが、「遺産の保護と継承」という理念は乱開発から文化・自然を守る、持続可能な開発を呼び掛けるものと解釈できる。そこで2005年に「世界遺産条約履行のための作業指針」に、「自然遺産及び文化遺産を保護、保全することは、持続可能な開発に大いに資するものである。 」との一文が加筆された。また、1994年に世界遺産へ導入された文化的景観は、「人間と自然の共同作業」をキーワードに、自然の恵み(環境財)を享受し人間の営みを継続してきた「持続可能な利用」の具象例(主として景観)を採り入れたものである。この考え方は日本でも文化財保護法への重要文化的景観採用に影響したが、★里山として古来より活用してきたものに近く、農業遺産での顕彰などへも波及している。2010年の「世界遺産条約:保全と持続可能な開発に関するパラチ会議」と2012年の「世界遺産と持続可能な開発に関するオウロ・プレット会議」で世界遺産における持続可能な開発の方向性を確認し、2012年(平成24年)に京都市で開催した「世界遺産条約採択40周年記念会合」および直前に富山県で開催した「遺産と持続可能な発展-理念から実践へ-」を通し、世界遺産における持続可能な開発への取り組みとして、★地域社会や先住民居住区といったコミュニティが参加する開発計画や監視の重要性を説き、前項での持続可能な開発の担い手への期待を寄せている。この他、エコミュージアムやリビングヘリテージなどが、サステイナブルツーリズムとして持続可能な利用の好例として、世界遺産観光において奨励されている。
※「持続する」は★「保つ」と同じ意味を持ちます。例えば、バランスを持続させる。と言うことができます。「継続」は何かを続けて行うことを意味します。例えば、日本語の勉強を継続して行う。と言うことができます。持続はmaintain で継続はcontinue に近いニュアンスです。集中力を持続する to maintain concentration 契約を継続する to continue the contract
・・・ただ単に一人ひとりが続けるだけにとどまらず、「コミュニティ」「コミュニケーション」を形にする「コラボ作品」の試作もスタートさせています。まさしく、私たちが取り組む「玉手箱プロジェクト」には「持続」という言葉がふさわしいと考えています。
・・・防空壕での「記憶の玉手箱」を企画するにあたって、真っ先に浮かんだのが大賀さんのことでした。長らくお会いできてませんでしたが「氣になる玉手箱展」のおかげで再会、★95歳になられたそうで、素晴らしい「持続」です。
・・・最近も、これまでの日記などをもとに記録を綴られているそうです。以前まとめられた「手記」は手元に2冊しか残っていないとのこと、せめて「あとがき」だけでも読んでもらいたいとお話がありましたので、ここに掲載させていただきます。
・・・「あとがき」に、《意を決して箱の中を開けてみた》と書かれている。「氣になる玉手箱展」そして「記憶の玉手箱」という企画はまさしくこのことなんだ、と再認識させられた。