氣になる玉手箱展(3) | すくらんぶるアートヴィレッジ

すくらんぶるアートヴィレッジ

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

「戦争のことって視界から消えると、意識からも消えてしまうと思うんです。だから、私はここを見せて、戦争のことを語り継いでいきたいです」(GALLERY「いろはに」北野庸子)

 

 

・・・ギャラリーにある防空壕は、これまでも様々な平和の取り組みの中で紹介されてきましたので多くの方々に知られています。また、展覧会をされるアーティストの方々が、インスタレーションなど展示をされることもあります。今回の「氣になる玉手箱展」においても、何らかのアピールができないか検討してきました。そして、防空壕という箱をみんなの平和への思いで満たす、「記憶の玉手箱」という企画が生まれました。展示を観ることにとどまらず、「ピースアクション」として、来廊者の方々に参加していただく取り組みです。

 

 

・・・この企画には、様々な方々の協力を得ることができました。

 

 

【吉岡数子】(1932~)

★教科書総合研究所(元平和人権子どもセンター・教科書資料館)代表。1932年朝鮮に生まれ、37年旧「満州」(現・中国東北部)へ移る。55年京都学芸大学卒業後、大阪市・堺市にて小学校教諭として勤務。91年に退職後、堺市の「平和と人権資料室」(後の「平和と人権資料館」)に5年間嘱託勤務。97年4月、退職金などを投じ同市にて私設「平和人権子どもセンター」開館。翌年「家永教科書裁判訴訟支援大阪地区連」からの教科書寄贈(約4300冊)を機に「教科書資料館」を併設。約6000冊を超える国内外の教科書や約1400枚の自製教科書パネルなどを蔵し、「平和・人権・子ども」に関する市民活動の拠点として広範囲な調査研究・教材づくり・出前展示・講演などを行っている。

http://www.osakavol.org/volo/volo2004/volo4016.html

●「在満少国民」の20世紀―平和と人権の語り部として/著:吉岡数子/解放出版社2002

●「教科書が語る戦争」/著:吉岡数子、北島順子/大阪公立大学共同出版会2015

本書は、著者が共同主宰する私設教科書総合研究所(大阪府堺市所在)が所蔵する、約6400冊の近代教科書を資料としてまとめられた、3部構成からなる研究書であり同時に資料集である。 I部は、吉岡による、同研究所月報「教科書が語る戦争」№1(2007年4月)から№84(2014年3月)である。1回ごとにテーマを設け、所蔵教科書を資料とした、自らの体験を通しての解題である。II部は、近代日本の国定・植民地・占領地教科書を検証し、その中の「靖国」および「運動会」に焦点を絞り、近代教科書における「身体文化」の思想について分析した北島による論文である。調査対象を内地だけではなく植民地・占領地にまで広げたことで、徹底した「定点観測」を可能ならしめている点が独自である。III部では、吉岡による外地における戦争体験を、そして吉岡と同年齢の黒田隆幸による内地における戦争体験をそれぞれ述べた、2冊の著書すなわち★二つの記憶を題材に、国定教科書の検証がなされている。 以上I部からIII部すべては、膨大な所蔵教科書がもたらした果実であると言ってよいだろう。またII部の論考は無論、I部、III部においても、資料・題材は静かに呈示され、解題は淡々となされており、著者個人の声高な主張はない。「かつて、自分で判断することを許されない時代があった。平和な時代だからこそ、自分で戦争の真実を検証して判断してほしい」という著者の願いが託されている。 本書は、若い世代はもちろん、教育者・研究者がそれぞれの判断によって広く活用されることを待ち望んでいる。

 

 

・・・「活用されることを待ち望んでいる」、この言葉をしっかりと受け止めたい。その思いをもって「教科書総合研究所」を訪問させていただきました。そして、多くの貴重な資料をお借りすることが出来ました。

 

 

・・・今回の訪問に際して、連絡調整をしてくださったのが「堺退職女性教職員の会」です。

 

《NEWS》2019.7.10朝日新聞デジタルより

赤紙に父が涙、母はその手を切れなかった/伝えたい戦争

https://www.asahi.com/articles/ASM787QNVM78PPTB00T.html

大阪府堺市の小学校や中学校で先生をしていた女性グループが、自身や親の戦争体験をまとめた冊子をつくった。副題は「語り継ごう!次の世代、その次の世代へ」。子どもたちや学校の先生に手にとってほしいと願っている。A4判の「聞いて!戦争があったこと~絵と文で語り継ぐ戦争体験」を編んだのは、府退職女性教職員の会・堺地区の会員。1945年3月から8月にかけてあった堺空襲の被害を中心に、戦時下の生活▽父の軍隊生活▽朝鮮からの引き揚げ▽新しい憲法――など10人が語った内容を20の話題にまとめて絵と分かりやすい文章を添えた。小学校の先生だった馬場茂美さん(75)は「戦争に行く前の夜」を寄せた。馬場さんが生後3カ月のとき、父武雄さんは召集令状を受けとり、行きたくないと泣いた。母やすえさんは、そんな武雄さんの手を包丁で切ろうとした。鉄砲が持てなくなったら行かずにすむはずだと。でも切れなかった。軍隊に取られた武雄さんはミャンマーで戦死。送られてきた白木の箱の中身は木切れだった。馬場さんは父の顔を知らない。母は96歳で亡くなるまで夫の帰りを待っていたという。冊子の始まりは、会員がそれぞれや親の戦争体験を持ち寄って19枚の紙芝居をつくった2014年4月にさかのぼる。できた紙芝居で翌年から出前授業を始めたのは、代表で中学校社会科の先生だった松川栄子さん(64)によると、★忘却への危機感だった。「まだ私たちには戦争体験を語ってくれる人がいた。今の子どもはもちろん、体験談を直接聞いたことがない世代が先生になっている」。どうすれば戦争反対の思いをつなげられるだろうかと考えたと振り返る。

 

・・・紙芝居をお借りして、展示させていただきます。ギャラリーでA4判「聞いて!戦争があったこと~絵と文で語り継ぐ戦争体験」も200円で頒布させていただきますので、ご協力よろしくお願いします。