・・・主題派「大作展」の作品と並行して、もう一つ「月」をテーマにした作品を制作します。
・・・「令月」そして「月考」へと考えを進めていく中で、「けいはんな記念公園」でのホタルとの出会いや「日本庭園」と「月」との関係は深く心に刻まれる出来事でもありました。「月のアート展」への出品について熟考した結果、自分なりに月のイメージを固めて応募することにしました。
【制作コンセプト】
本年5月に元号が「令和」となり、何か今年にしかできない作品を作りたいと考えていました。「令和」のもとになった「令月」から、「月」をモチーフにして制作することにしました。いろいろ調べていくと、日本人はとても「月」が好きで、古来より「月」にまつわる様々な生活ぶりが見えてきました。さらに「日本庭園」が「観月」のために設計されているという話などは、新鮮な驚きでもありました。そして、実際に庭園を訪れたいと思っていたところ、ちょうど「けいはんな記念公園」での「ホタル鑑賞会」のチラシを入手しました。
「ホタル」も長い間観てませんでしたので、6/14(金)に行かせてもらいました。小さな子どもたちも保護者に連れられたくさん来ていました。子どもたちに混じって私も本当に興奮し、消え入るようなホタルの光に魅入りました。月の方はあいにくの雨模様で見られませんでしたが、水景園の「観月橋」「観月楼」など素晴らしい景色でした。けいはんな記念公園「6・7月のお便り」には「ホタル鑑賞会」ともう一つ、「月のアート展」作品募集が掲載されており、ぜひとも参加したいと思うに至りました。
「月」と「日本」そして「庭園」、四季折々の景色や虫たちなどを盛り込むには、単純な平面では収まり切れない。そこで、日本の表現手法(形式)である「屏風」仕立てにすることにしました。「屏風」の役割は実用的機能(風よけ、間仕切り)より、空間を演出するための視覚効果を重視したものとして発展してきたようです。そして折り曲げた状態で鑑賞することを前提としており、折ることで絵に立体感が生まれ、さらに正面から見るだけでなく左右(時には裏側)に視点を変えることで絵に変化が生まれ、様々に楽しめます。
自然の風物などが見事にデザインされた、日本の伝統的「紋様(文様)」が好きです。とりわけ「立 涌(たてわく)」や「縞」の魅力に憑りつかれています。枯山水庭園の「砂紋、箒目(ほうきめ)」などは、まさしくアートだと思います。近年、「発泡スチロール」ボードによる作品を中心にしており、「熱線(ニクロム線)」による切断で美しい縞模様が生まれるので、それを生かして制作しています。今回も、それを「庭園(砂紋)」や「池(波紋)」時には「風(風紋)」に見立てて、ボード(扇)を構成しました。従来の閉じた「扇(襖)」とせず、あえて「隙間、間隙」を空けることによって、より空間の効果を高めるようにしました。
古来、日本家屋(建築)には空間を間仕切るものとしては壁と扉しかなく、内部を仕切る建具のない広間様式となっていたようです。そして、日々の生活や季節の変化・行事祭礼・接客饗宴に応じて、屏風や几帳など障子を使うことにより内部を仕切り、畳やその他の調度品を置いて「しつらい(室礼)」をしたそうです。
「令和」を迎えて、もっともっと「日本」のことを学ばなければならないとの反省もあり、「月のアート」に取り組みつつ、「日本人」としての自分を振り返り、恥ずかしくない国際人として「お・も・て・な・し」ができるアートを創造していきたいと思っています。「G20(大阪・舞洲)「世界遺産(百舌鳥古市古墳群)登録」そして「2020東京オリンピック」「2025大阪・関西万博」など、目白押しですから。