《「ノアの箱舟」開設10年 貯蔵種子100万種突破ノルウェー》
2018年2月27日 10:30発信地:ロングイェールビーン/ノルウェー
【2月27日 AFP】自然災害などで世界の作物品種の種子が絶滅するのを防ぐため北極圏のノルウェー領スバルバル諸島(Svalbard Islands)に設置された種子貯蔵庫は26日、開設から10年を迎え、これまでに持ち込まれた種子が100万種を超えたと発表した。2008年2月26日に開設されたスバルバル世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)は山の地下に位置し、種子の「ノアの箱舟」とも言われる。種子の最大貯蔵能力は45億セット。26日は新たにササゲ、バンバラマメなど7万6000以上の種子のサンプルが加わり、これまでに持ち込まれた種子は計105万9646種となった。施設はノルウェーにあるが、種子の所有権は預け入れた国家や機関にあり、いつでも持ち出すことができる。「地球最後の日に備えた貯蔵庫」と呼ばれるスバルバル世界種子貯蔵庫は、「時の試練や天災・人災に耐え、何らかの非常事態の際にも種子の確保を可能にする貯蔵施設」を提供するために建設された。ノルウェーのヨン・ゲオルグ・ダーレ(Jon Georg Dale)農業・食料相は「100万種以上の種子が永久貯蔵のためにこのドアを通ったことをお知らせできるのは非常に喜ばしい」と述べた。戦闘が続いていたシリア・アレッポ(Aleppo)に同地の作物を再導入するため種子が持ち出されたため、現在、施設に貯蔵されている種子は96万7216種となっている。
https://www.croptrust.org/our-work/svalbard-global-seed-vault/
《地球最後の日のための種子》
著:スーザン・ドウォーキン/翻訳:中里京子/文藝春秋2010/8/26
北極圏の凍土の地下にある「地球最後の日のための貯蔵庫」。それは作物の遺伝子を守り、その多様性を伝えるための施設だ。世界を駆けめぐり、あらゆる品種の種子を集めた一人の科学者。その生涯を追い、環境保護と私企業の問題、遺伝資源の保全と知的財産権の対立を描き出す科学ノンフィクション。
《食糧争奪戦争》著:浜田和幸/学研新書2009
日本は食糧自給率がカロリーベースで40%未満だが、相変わらずの飽食で十分に食べられるものも平気で捨てている。だが世界では100年に1度の金融大不況と言われているが、実は1000年に1度の食糧危機が迫りつつある。世界全体の67億人のうち10億人は食べるものが満足にない。しかもこのままだと人口はさらに増え、一方では異常気象の影響もあって作物の生産は減っている。その結果、当然のこととして食糧をめぐる争奪戦が繰り広げられている。今はダイエットやグルメに興じているが、日本人は世界に目を向けて生きかたを見つめ直す必要がある。輸出産業に依存して、食糧はそれで儲けたお金で買えると思ってきたが、食糧の世界にいつ激震が起きても不思議ではない。5年後、10年後を考えればのんきでいられる状況ではなないことを、多くの人たちに知ってほしい。これからのキーワードは環境、健康、教育の「3つのK」だ。自然の力をうまく利用して、健康で安心できるものを作って食べる。世界が注目する魅力的な食生活が日本にはある。そういう方向で世界に新しいビジネスモデルを提示し、世界を日本から変えることをめざすべきだ。
【浜田和幸】(1953~)
鳥取県生まれ。東京外国語大学卒業後、米ジョージ・ワシントン大学政治学博士課程終了。米戦略国際問題研究所、議会調査局経済部等を経て、現在、国際未来科学研究所主宰。著書に「ヘッジファンド」「石油の支配者」(文春新書)、『ウォーター・マネー「水資源大国」日本の逆襲』『「大恐慌」以後の世界』(光文社ペーパーバックス)ほか多数。
★ビル・ゲイツが進める現代版「ノアの方舟建設計画」とは
■現代版「ノアの方舟建設計画」
2009年5月5日、ニューヨークはマンハッタンにあるロックフェラー大学の学長でノーベル化学賞の受賞者ポール・ナース博士の邸宅に世界の大富豪とヘッジファンドの帝王たちが集まった。この会に名前はついていないが、参加者たちは「グッドクラブ」(善意の集まり)と呼んでいる。主な顔触れはデービッド・ロックフェラーJr、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、マイケル・ブルムバーグ、テッド・ターナー、オプラ・ウィンフレーと言った超豪華メンバー。この集まりを呼び掛けた人物はパソコンソフトの標準化を通じて寡占状態を築き上げ、個人資産5兆円を超すビル・ゲイツである。これほどの大富豪たちが一堂に会し、密かに議論したテーマは何であったのか。実は世界の人口増大をいかに食い止めるか、そのために彼らが所有する巨万の富をいかに有効に活用すべきか、ということであった。議長役としてこの会を取り仕切ったビル・ゲイツによれば、「人類の未来に立ちふさがる課題は多いが、最も急を要する問題は人口爆発である。現在67億人が住む地球であるが、今世紀半ばには100億人の可能性もありうる」「このままの状況を放置すれば、環境・社会・産業への負荷が過大となり地球環境を圧迫することは目に見えている。なんとしても人口爆発の流れを食い止め、83億人までにとどめる必要がある。各国政府の対応はあまりにスローで当てにはできない。潤沢な資金を持ち寄り、我々が責任をもって地球の未来を救うために独自の対策を協力して推し進める必要がある」とのことであった。ゲイツはその思いをすでに具体化するために、あるビッグプロジェクトに資金を注いでいる。それが現代版「ノアの方舟建設計画」に他ならない。
■「北極種子貯蔵庫」に巨額の資金を提供したゲイツ氏
この計画は2007年から本格的に始まった。人類がこれまで手に入れてきたあらゆる農業遺産を保護することを目的としている。あらゆる国の農業で不可欠の役割を果たしてきた種子を未来のために保存するということである。見方を変えれば、生き残れる人類とそうでない人類を区別することもできる。この計画を推進してきたのは、ノルウェー政府であるが、資金面で協力してきたのがビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金。この慈善事業団体を通じて、毎年15億ドルを使わなくてはならないゲイツ氏はこれまでエイズの撲滅やがんの治療ワクチンの開発等に潤沢な資金を提供してきた。その彼が、2007年、ノルウェーのスピッツベルゲン島に建設された「あらゆる危機に耐えうるように設計された終末の日に備える北極種子貯蔵庫」に巨額の資金を提供していることはほとんど知られていない。ゲイツのお陰で、この貯蔵庫は2008年2月26日に正式オープンを迎えた。核戦争が勃発したり、地球温暖化の影響で種子が絶滅したような場合でも、未来の人類がこれらの種子を再生できるように保存するのが目的だという。しかし、この種子の提供を受けなければ将来は食糧を手に入れることはできなくなってしまう可能性は高い。しかも、ゲイツ基金の他にロックフェラー財団、モンサント、シンジェンタ財団、CGIAR(国際農業調査コンサルグループ)なども、未来の作物の多様性を確保するため300万種類の植物の種子を世界から集めて保管し始めたのである。ちなみに、シンジェンタはスイスに本拠を構える遺伝子組換え作物用の種子メーカー。CGIARはロックフェラー財団とフォード財団が資金提供を行っている組織。この計画に共同提案者として協力しているグローバル・クロック・ダイバーシティー・トラスト(GCDT:世界生物多様性信託基金)のカーリー・パウラー博士によれば、「我々は毎日のように作物生物の多様性を失いつつある。将来の農業のため、そして気候変動や伝染病などの危機から人類を守るため、あらゆる環境に適用する種子を保存する必要がある。いわば、あらゆる危機に生き残る種子を集めたフエール・セーフの金庫が必要だ」。このGCDTは国連食糧機構(FAO)とCGIARによって設立された。この会長はフランスの水企業スエズの経営諮問委員会に籍を置くマーガレット・カールソンである。
■「緑の革命」がもたらしたもの
ビル・ゲイツをはじめ農薬や種子をビジネスとするモンサントやシンジェンタは、いったいどのような人類の未来を想定しているのであろうか。また、ロックフェラー財団はかつて食糧危機を克服するという目的で「緑の革命」を推進した中心組織である。当時の目論見では在来種より収穫量の多い高収量品種を化学肥料や除草剤を投入することで拡大し、東南アジアやインドで巻き起こっていた食糧不足や飢餓の問題を解決できるはずであった。ロックフェラー財団の農業専門家ノーマン・ボーローグ博士はこの運動の指導者としての功績が認められ、1970年にノーベル平和賞を受賞している。しかし、緑の革命は石油製品である化学肥料や農薬を大量に使用することが前提であった。メキシコの小麦やトウモロコシ栽培で見られたように、導入当初は収穫量が2倍、3倍と急増した。しかしその結果、農作地は疲弊し、新しく導入された種子も年を経るにしたがい収穫量が減少し始めた。そのためさらに化学肥料を大量に投入するという悪循環に陥ってしまった。最終的には農薬による自然破壊や健康被害も引き起こされ、鳴り物入りの緑の革命も実は伝統的な農業を破壊し、食物連鎖のコントロールを農民の手から多国籍企業の手に移そうとするプロジェクトにすぎなかったことが明らかになった。とはいえ、このおかげで石油産業をベースにするロックフェラー一族やセブンシスターズ、そして世界最大の種子メーカーであるモンサントをはじめ、大手アグリビジネスは空前の利益を上げたことは言うまでもない。ノルウェー政府が推進している「ノアの方舟計画」に参加しているモンサントやシンジェンタにとって、どのようなメリットが種子銀行にはあるのだろうか。
■種子を押さえることで食糧生産をコントロール
これら遺伝子組換え作物の特許を所有する多国籍企業にとっては「ターミネーター」と呼ばれる技術特許が富を生む源泉となっている。要は、この技術を組み込まれた種子を捲いて育てても、できた種子は発芽しないように遺伝子を操作されているのである。言い換えれば、どのような状況においても一度この種子を導入した農家は必ず翌年も新たな種子を買わなければならないのである。いわば種子を押さえることで食糧生産をコントロールできるようになるわけだ。緑の革命を推進してきたロックフェラー財団やターミネーターを開発し、世界に普及させようとしている巨大なアグリビジネス、そしてマイクロソフトを通じて独占ビジネスに経験と知識を持つゲイツが世界の終わりの日に向けて手を結び、世界中から植物や作物の種子を収集している狙いは明らかだ。この種子貯蔵庫が建設されたスピッツベルゲン島のスエルバードという場所は北極点から1100キロメートル離れた場所に位置している。周りに人は一人も住んでおらず、まさに氷に閉ざされた場所であり、種子の保存には最適の自然環境かもしれない。とはいえ、この地下130メートルの収蔵庫は鋼鉄で補強された厚み1メートルのコンクリート製の壁で覆われ、核攻撃にも耐えうるといわれるほどの堅固なつくりとなっている。スピッツベルゲン島自体が永久凍土の一部を形成しており、マイナス18度が最適と言われている種子の保存にとっては理想的な環境といえるだろう。しかも、この一帯は地震の恐れがまったくないという。この地下貯蔵庫に集められた多くの種子は数千年の保存期間が保障されている。大麦の場合は2000年、小麦で1700年、モロコシでは2万年もの長期保存が可能といわれる。現在は300万種類の種子が保存されているが、今後さらに保存対象の種子を増やす計画のようだ。実はこのような植物や動物の種を保存するための種子貯蔵庫は世界各地に作られている。その数1400。にもかかわらず、既存の種子貯蔵庫を遙かに上回る規模でノルウェー政府がこのような巨大な地下貯蔵庫を建設した理由は何であろうか。意外に思われるかも知れないが、各地に作られた種子貯蔵庫は最近の経済金融危機の影響を受け、管理維持が難しくなりつつあるという。
■将来の宝の山が失われつつある現状
イギリスにあるミレニアム種子貯蔵プロジェクトでは30万種類の植物種子を保存することで、将来の生物多様性を維持し、食糧や医薬品の開発に貢献しようとしている。当初の目的では2010年までに世界中に存在する種子の10%を収集することになっていた。必要な費用はイギリスの宝くじ販売からの収益金と企業からの寄付金でまかなう構想であった。しかし、宝くじの収益は経済危機の影響で落ち込む一方となり、加えて2012年のロンドン・オリンピックのためにも宝くじの収益金が欠かせないという状況が生まれ、このイギリスの種子貯蔵計画は空中分解一歩手前となってしまった。あらゆる種類の種子を集めることは将来の人類の生存にとって、欠かせない作業と言えるだろう。なぜなら、ほんの30年前には「カサランサス」というマダガスカル・ペリーウィンクルという名前でも知られる植物にがんの治療薬に欠かせない成分が含まれていることは知られていなかった。昨今の新型インフルエンザの発生を見ても、予防薬や治療薬を開発するために同様なケースが容易に想像できるだろう。現在世界各地で森林の伐採や干ばつの進行によって、多くの自然の生物や植物が地上から姿を消し始めている。世界には1400か所ほどの種子貯蔵施設があるが、それらすべてを集めても地球上の植物多様性の中のほんの0.6%の種子を保存できているにすぎない。未だ人類が理解していない将来の宝の山が失われつつあるという現状がある。それこそビル・ゲイツやモンサントなどが大きな関心を寄せている背景に違いない。人類の将来の食糧危機や健康維持に必要な素材を確保する。また、同時にこれまで緑の革命の中で人工的に自然破壊が行われてきた過去の経緯を闇に葬ることも可能になるだろう。モンサントをはじめ、デュポン、ダウ・ケミカルといったアグリビジネスがこれまで開発提供してきたデカブやパイオニア・ハイブレッドなど遺伝子組み換え作物のトレーサビリティーが効かないようにすることも、あらゆる種子をコントロールすることで可能になるだろう。こうした人類の未来を左右することになりかねない種子の保存や選別といった極秘ビジネスが2007年から始まったことに我々は無関心でいるわけにはいかない。人間のありかたすらも影響を与えかねない。現在、種子の製造会社としてはモンサント、デュポン、シンジェンタそしてダウ・ケミカルが世界の市場をほぼ独占しており、遺伝子組換え作物に関する特許もほとんど彼らが押さえてしまっている。
■米国はアフリカ大陸を遺伝子組換え作物の実験場に
2007年、モンサントはアメリカ政府と共同でターミネーターと呼ばれる種子の特許を世界的に押えることに成功した。このターミネーターに関する特許を押さえたことでモンサントはかつて人類の歴史上ないことなのだが、一民間企業が農業生産すなわち食物の確保に決定的な支配力を持つことになったと言えるだろう。世界中の農民たちは毎年モンサントをはじめ巨大アグリビジネスが提供する種子を買わざるを得ない。特に米、大豆、トウモロコシ、小麦、といった主要作物に関してはあまりにも影響が大きくなりそうだ。2007年にそのような特許が成立したことを受け、今後10年あるいは20年以内に確実に世界の食糧生産者の大多数はこれら4社が提供する種子が手に入らなければ、農業生産ができないという状況に追い込まれるだろう。そのような長期的な食糧独占計画をアメリカ政府は国際開発庁が中心となりモンサントらとともに進めているのである。これほど強力な外交交渉における武器もないだろう。アメリカの政策に反対するような国に対しては食糧生産に欠かせない種子の提供を拒むということもありうるからだ。すでにアメリカ政府はアフリカ大陸における遺伝子組換え農業の推進に着手している。モンサントが開発した遺伝子組換え種子をアフリカ各地で実験的に栽培する動きを支援し始めた。南アフリカでは遺伝子組換え作物の導入が法律を改正して認められるようになった。また、ブルキナ・ファソでも実験的な遺伝子組換え作物の導入が始まり、ガーナでも同様の動きが見られるようになっている。要はアメリカの新たな国家戦略としてアフリカ大陸をアメリカ製の遺伝子組換え作物の実験場にしようとしているわけである。その背後にはビル・ゲイツやヘッジファンドの帝王たちの新たな野望が見え隠れする。
《モスクワ大学が 10億ルーブルをかけ「ノアの方舟」を創造する》
モスクワ国立大学に世界初の生体材料貯蔵庫(バイオマテリアル・バンク)が作られる計画が、サドヴニチイ学長によって明らかにされた。このプロジェクトは「ノアの方舟」と命名された。学長によれば、長期的な保管の後でも再生できる形での細胞材料の低温保存をおこない、さらに、蓄積した材料の分析のための最新のコンピュータ・ブラットフォームの設置もおこなわれるという。この特別なコンピュータ・システムは、ロシアの他の研究拠点と、また、海外の生体バンクともネットワークを持つ予定だ。世界には、今のところ、このような形式での生体材料の統一した低温貯蔵システムは存在しない。費用は 10億ルーブル(約 20億円)で、2018年の稼働をめざす。完成したバイオバンクには、世界中の絶滅危惧種と共に、全世界の 430万種類の生物種の生体材料が貯蔵される予定だ。
《Earth BioGenome Project》
https://www.earthbiogenome.org/
現代は地球上で6度目の大量絶滅期とも言われている。過去にトカナでも報じているのだが、西暦1500年から現在までに320種もの脊椎動物が絶滅し、各生物種の個体数も平均25%減少しているという。そんな中、現代における「ノアの方舟」ともいえる一大プロジェクトが進められようとしている。今後10年間で150万種にも及ぶ植物・動物・真菌のゲノム情報を収集、保存しようというのだ。米誌「Newsweek」をはじめ、多数のメディアが報じている。
2018年4月24日付の学術誌「米国科学アカデミー紀要」で発表された「Earth BioGenome Project」は、生物の大量絶滅が危惧される中で行われる、まさに現代版ノアの方舟といえる。
米国立自然史博物館のジョン・クレス氏を中心とした世界中の科学者24人が連名で発表した声明によると、このプロジェクトでは地球の生物多様性への理解と資源の保護を目的に、世界中の真核生物のゲノム情報のオープンなデータベースを作成するというのである。
https://www.pnas.org/content/115/17/4325
「Newsweek」によると、150万種の生物種のカタログを作成するのにかかる期間はおよそ10年、費用は約47億ドル(約5100億円)、総データ量は200ペタバイト以上にのぼると見積もられている。現時点でゲノム情報が解読されている生物はわずか0.2%に過ぎず、プロジェクトの進展には世界中の大学や研究所、研究者や学生らの協力を取り付ける必要がある。データベースは広く公開され、生物学、医学、農学など幅広い分野に貢献するとみられる。このプロジェクトを支えるのは、直近の数十年で格段に進歩した遺伝子解読技術の進化だ。かつて人間の全塩基配列を解読するヒトゲノムプロジェクトには15年もの年月と約30億ドル(約3200億円)が必要だった。しかし技術の進歩はめざましく、現在では1人分のゲノム解析がおよそ1000ドル(11万円)程度で行えるという。また、プロジェクトの中では未知の生物種が発見されるのではないかと期待されている。地球上には最大1500万種もの未知の種が存在すると考えられているが、その多くは小さな昆虫や海の中にいる小さな生物とされる。現在の技術を総動員して、既知の種すべてのゲノム解析を進めれば、まだ知られてない種のうち80~90%を発見できるのではないかというのである。かつてこの世界が大洪水に襲われた時、全生物を絶滅から救ったとされるノアの方舟――。声明の中で、このプロジェクトは「健康や環境、経済、社会問題に革新的な解決策をもたらす可能性をもつ新たな科学的基盤を築く」と宣言している。現代版ノアの方舟プロジェクトは世界を救う救世主となるのだろうか。その行方に期待したい。
・・・それでは、そろそろ私の「ノアの方舟」を紹介しましょう。
・・・われながら、あんまり工夫がない。ははは。