・・・他人のこと言えませんが、洲之内さんに心酔している方々が多く、予定に反してついつい前置きが長~くなってしまいました。そろそろ、確信にせまります。
《参考》コラム「宮城県美術館と髭のない二匹の猫」
今回は各施設と動物がテーマということで、宮城県美術館と二匹の猫のお話をしたいと思います。宮城県美術館にアリスの庭という場所があるのをご存じでしょうか。アリスの庭は、美術館の本館と佐藤忠良記念館との間に位置する彫刻庭園で、湾曲したマジックミラーの壁面と動物や子どもの彫刻が織成す不思議な空間が注目を集める、当館屈指の撮影スポットです。この庭のアイドルとなっているのが、一匹目の猫★フェルナンド・ボテロ(1932-)の彫刻の《猫》です。しかしその圧倒的な存在感に、最初は、それが猫だと気づかない人も多いようです。猫と言えば一般に、三角の耳にピンと張ったひげ、しなやかな肢体、そんなイメージですが、この作品のつやつやとした丸い顔に、筋骨隆々とした体つきは、キャラクター化された猫のイメージを打ち壊し、たくましい生命のかたちを目の前に突きつけます。作者のボテロはコロンビア生まれ、ヨーロッパやアメリカで活躍している画家・彫刻家で、人物でも、動物でも、静物でも、「ふくよか」に表わす個性的な作風で有名です。なかでも《猫》は、彼のよく知られた作品の一つで、スペインにはなんと8m(!)の大作があります。その半分の大きさですが、それでも十二分に圧巻の大猫を、当館では「不思議の国のアリス」のチェシャ猫に見立てて設置しました。
ところで、実は、この猫にはひげが無いのにお気づきでしょうか。それには、美術館ならではのジレンマがあるのです。作品は、保存することだけを考えれば、理想的な環境を整えた収蔵庫にしまい込んでおくのが一番いいのです。しかし、美術は人々の目に触れて初めて生きるもの。そして絵画と違って丈夫な彫刻は、太陽の光の中で、肌で感じられるのも代え難い体験です。そこで美術館では、これらの彫刻を屋外に設置し、多くの人たちに楽しんでもらいたいと考えました。しかし、そのためには、ひとつ問題がありました。それは、《猫》のブロンズで出来た硬いひげが子どもの目の高さにあって危険だったということ。そこで作者の了解を得て、ひげをはずしたのです。その結果、ひげの無い《猫》は、子どもたちの人気No.1、美術館のスタンプの絵柄になるほどの代表作となりました。そしてもう一点、今やテレビや雑誌などでも引っぱりだこの猫の名作が、当館にはあります。それが、長谷川潾二郎(1904~1988)の《猫》。この二匹の猫には思わぬ共通点があるのです。それはひげが無いということ。描かれたのは洋画家、長谷川潾二郎の愛猫タロー。潾二郎はある秋の日、気持ちよさそうに眠るタローの姿に惹かれて筆を執ります。ところが猫は冬になれば丸くなり、夏には伸びて長くなる。ありのままを眼の前にしないと描けないこの画家は、タローが同じポーズをとるのを待ち、何年もかけて作品を仕上げたのですが、ひげは描かれぬまま、肝心のモデルが老いて亡くなってしまったという、ホロリとさせられる裏話があります。このエピソードが物語るように、潾二郎はとにかく遅筆で寡作な画家でした。エッセイ「気まぐれ美術館」の著者、洲之内徹が取り上げたことで、一部の美術ファンに知られるようになりますが、本人は変わらず、画壇からも、流行からも距離を置き、孤高とも言える制作態度を貫いたため、脚光を浴びることなく、その生涯を終えています。しかし思わず触れたくなるような愛らしいタローの寝姿が、孤軍奮闘、主人亡き後も人々を魅了し続け、潾二郎再評価の原動力となったのです。それにしてもこの《猫》、極めて簡潔な画面構成なのに、タローへの愛情が結晶化したような詩情を感じさせる、なんて密度の高い絵なのでしょう。この作品は「未完の名作」などと呼ばれることがありますが、日記や制作ノートを読むと、潾二郎はひげが無いことを指摘されても、それでいいと思っていたふしがあります。タローの死後、洲之内に乞われてひげを描き足しますが、なぜか片方だけ。しかし潾二郎にとっては、この「片ひげ」が、作品の完成型だったのでしょう。(文:宮城県美術館学芸員・加野恵子)
【フェルナンド・ボテロFernando Botero】 (1932年4月19日 ~)
http://www.artnet.com/artists/fernando-botero/
コロンビアの画家・彫刻家。"最もコロンビア人らしい芸術家"と呼ばれる。彼は全ての創作活動において、色と形を通して彼自身と主題の主要な部分をとらえようとする。作品には静物画や風景画も存在するが、肖像画を最も重視する傾向にあり、人間や動物を誇張されたふくよかな体型で表現した作品で注目されるようになった。彼が"太った人々"を描くことを選んだ理由を、評論家たちはしばしば事物や状況を風刺するためだと解釈するが、これについてボテロ自身は次のように説明している。ユニバーサルアートアイコン、大規模な仕事はどこでも子どもから大人までが認識されています。生きているアーティストは、世界におけるラテンアメリカの最も珍重ネイティブ今日考えられている。著作者の広範な作業は、それらに紛れもないアイデンティティを与えるとする移動いくつかの"ボテロ"で呼ばれるオリジナルの比喩的なスタイル、と印刷され、そしてアーティストの特定のトピック(与える解釈によって特徴付けられる男性、女性、男性、感情、オブジェクトへの情熱、痛み、信念、悪徳、彼らの日常生活、関係、文化的なイベントだけでなく、ドラマ、歴史的なイベント、アートの社会的、政治的、マイルストーン、誇張されたと不均衡な容積測定を有する動物、風景や一般の自然は)、特定の解剖学の概念と痛烈に批判、皮肉、ユーモア、微妙なメッセージ、そして創意工夫の細部。「芸術家は理由など知らずにある形にひきつけられる。理屈を付けて正当化するのは後からすることだ。」ボテロは言葉や、色、形、比率の選択といったものの最も根本的な感性を直感的な美的思考に求める抽象芸術家である。
《参考》太い猫Botero名品インテリア彫刻フィギュア
https://item.rakuten.co.jp/bijyutuhinn/2142/
・・・この「猫アート」ブログの最大のきっかけになったのが、
◆【ひろしま美術館】◆
730-0011 広島県広島市中区基町3-2/082-223-2530
http://www.hiroshima-museum.jp/index.html
★《ねこがいっぱい ねこアート展 》
エジプトのねこから浮世絵、フジタのねこまで
2018年4月21日(土)~ 6月24日(日)
前期:4月21日(土)~5月23日(水)
後期:5月24日(木)~6月24日(日)
※会期途中に一部作品の展示替えを行います。
しなやかな肢体や俊敏な運動能力、愛くるしい仕草、柔らかな毛並みなど、猫の多彩な魅力は世界中の芸術家たちを魅了してきました。本展では、世界中で描き、かたちづくられてきた猫の絵画や彫刻を展示し、東西における表象の違いや、人々の暮らしの中でみせる猫の様相、歌川国芳やフジタら愛猫家たちによって鋭い観察力で捉えられた姿など、猫の美術の歴史を辿りながら、その限りない魅力に迫ります。
■第1章 猫の表象~聖なる猫と悪魔の猫
聖なる猫―古代エジプトの猫崇拝、吉祥の猫、悪魔の猫―ヨーロッパにおける受難と迫害の歴史
《バステト女神像》エジプト末期王朝時代 松岡美術館、司馬江漢《猫と蝶図》江戸時代後期 府中市美術館ほか
■第2章:人の暮らしとともに
西洋編=ピエール・ボナール《子供と猫》1906年頃 愛知県美術館ほか
日本編=岩松道純《新田猫絵》江戸時代後期 太田市立新田荘歴史資料館ほか
■第3章:猫百態
画家が見つめた猫、猫百態
朝倉文夫《つるされた猫》1909年 東京藝術大学、高橋由一《猫図》笠間日動美術館ほか
■第4章:猫七変化
化ける猫、擬人化された猫、猫の文学
歌川国芳《荷宝蔵壁のむだ書き(黄腰壁)》1848年 川崎市市民ミュージアム
三岸好太郎《猫》1931年 北海道立三岸好太郎美術館ほか
■にゃんコンサート「動物たちの饗宴」
会場:ひろしま美術館 本館ホール定 員:100名程度(先着順)
※聴講無料。ただし、当日有効の本展入館券が必要です。
5月13日(日)14:00~15:00
演奏者:枝松 瞳(ソプラノ)折河 宏治(バリトン)小林 知世(ピアノ)
・・・「洲之内コレクション」の猫だけでも実際に観たい、「ヒロシマ」なら行ってみようと思い立ったわけです。
《NEWS》2018.4.22中国新聞より
古今東西の猫にまつわる絵画、彫刻を集めた「ねこがいっぱい ねこアート展」(中国新聞社など主催)が21日、広島市中区のひろしま美術館で始まった。。開会式で、ひろしま美術館の川平伴勅副館長、中国新聞社の岡谷義則社長たち9人がテープカットした。猫を神に見立てた古代エジプトの彫像から、猫の多様なしぐさを捉えた日本の浮世絵、彩り豊かな近現代絵画に至るまで、約150点が並ぶ。中には愛猫家だった画家のレオナール・フジタ(藤田嗣治)、熊谷守一たちの優品が並び、来場者の目を引いている。5月23日までの前期と5月24日〜6月24日の後期で一部展示替えをする。会期中無休。6月24日まで。関連イベントとして学芸員が登壇するトークイベントや、『にゃんコンサート』と題したコンサートも実施。館内の喫茶店カフェ・ジャルダンで展覧会にちなんだ限定メニューが提供される。
《参考》2014年7月30日広島放送より
ひろしま美術館のカフェが7月26日、新しくリニューアルされたと紹介されました。ゴッホの「ドービニーの庭」は、ひろしま美術館の所有する作品ですが、ゴッホは同じ構図の絵を2枚描いています。もう一枚を所有するスイスの美術館の同じ構図の作品には、左下に「黒猫」が描かれています。しかし、近年の科学的な調査で「ひろしま美術館」の所有する絵にも元々黒猫が描かれていたことが判明しました。黒猫を探してカフェへ行くと、看板に逃げ出した黒猫がいました。カフェのインテリアには黒猫ちゃんがいっぱいで、地元老舗パンメーカー「アンデルセン」とコラボし、リニューアルオープンしました。パンメニューも豊富で、ケーキセットは、北欧のカップや、ヘレンドやジノリのカップを使って頂けるそうです。ガラス張りの店内は明るくエレガントなカフェにリニューアルした美術館カフェ。ほっと一息つける安らぎの空間になっていました。
・・・いろいろ楽しみがふえました。現在チケット取り寄せ中、後日「ヒロシマ」旅行記を報告します。