・・・これまで「病院」に行くことは滅多になかったのですが、年老いた母や自分自身のことで行かざるを得なくなってきました。悲喜こもごも、どうせなら「病院アート」を楽しみましょう。今回は舳松まで来ましたので、
【耳原総合病院】
590-8505堺市堺区協和町4-465/072-241-0501
http://www.mimihara.or.jp/sogo/
1950年、耳原総合病院は地域住民の100円のカンパを希望の芽としてこの地に根ざし、育まれてきました。医療が行き届かなかった時代、民家の中2階から始めた診療は、病を治すだけでなく、心にもほっと希望のあかりが灯ることを祈っていました。その原風景を、新しくなる病院にも引き継ぎたい。そんな思いから全てのアートを★「希望のともしび」とし、院内の随所に展開しています。
★「ホスピタルアート」
http://www.mimihara.or.jp/sogo/hospitalart/
【ホスピタル・アートディレクター:室野愛子】
2004年からNPOにて療養環境のアートを専門に活動。クリニックから総合病院、養護老人施設まで療養環境でのアートをディレクション。各地での啓発活動も行う。2013年より医療者や患者、地域の想いをアートに起こす専門職として当院に在籍。
《ふれあいエントランス:YUKO TAKADA KELLER》
デンマーク在住の日本人造形作家、キュレータ、エッセイスト。大阪府大阪市生まれ。トレーシングペーパーを使った3次元の作品で空間を構成。軽やかで心安らぐ空間を演出。BVLGARIなど企業とのアートコラボレーションや音楽家とのコラボレーションコンサートにも力を入れている。著書に、『平らな国デンマーク「幸福度」世界一の社会から』(NHK出版)。当院の作品『Expectation - 希望の芽』は、オファーから約2年で完成にこぎつけ竣工式直前の2015年3月末、作品取り付けのために来日いただいた。本作品は、世界初の病院展示作品となった。
《NEWS》2016.5.21大阪日日新聞より
耳原総合病院が全面開業、地域交流ゾーン開設
http://www.mimihara.or.jp/sogo/news/detail.php?seq=128
大阪府堺市堺区の耳原総合病院は、施設の建て替え工事を終えて全面開業し、地域とともに発展していこうと意欲を示している。今月開設した地域交流ゾーンでは、多彩な催しに活用していくホールをはじめ、病院の歴史や思いを伝える壁画も誕生。つながりと癒やしを生む場として存在感を示している。同病院は、耐震化のために2012年から建て替えに着手。15年春に中核施設が完成し、今月には地域交流関連のスペースができた。15日には全面開業を記念した催しを実施。病院を運営する同仁会の斉藤和則理事長は「多くの方に交流ゾーンを使っていただき、盛り上げていってもらえれば」と思いを語っていた。また、設備が充実できたのを踏まえ、「健康を阻害している『貧困と格差』をなくす運動をしていく」と強調。22日には、堺市社会保障推進協議会などによる「子どもの貧困問題を考えるシンポジウム」がホールで開かれる予定で、同病院の関係者も参加する。地域交流ゾーンの壁画も15日に初披露。画家★中島裕司さんが地域の思いを聞き取りながら1年半の準備期間を経て取り組み、約1カ月かけて完成させた。階段の片側の壁に縦6・5メートル、横10メートル、反対側に縦6・5メートル、横4メートルにわたって描いた。三つの額の中に堺市や病院の歴史、未来への船出をイメージした絵を描き、周りには「命、愛、平和」の意味を込めた「チョウ、バラ、ハト」をちりばめている。中島さんは「命と愛を大切にする病院として地域の枠を超えて発展していってほしい」と思いを込めていた。同病院は芸術作品をさまざまな場所で展示しているのが特長の一つ。元患者や関係者でつくる市民団体「健康友の会みみはら」の森島嘉之会長は「いい癒やしになる」と指摘。全面開業を踏まえ「安心して医療にかかれて、いつまでも住みたいまちづくりを一緒に目指していきたい」と力を込めていた。
《参考》新病院建設ニュース
http://www.mimihara.or.jp/tatekae/index.html
「心ひとつに」2015.9(43号)2016.5(51号)
http://www.mimihara.or.jp/tatekae/news_pdf/index.html
【中島裕司】
http://www.mimihara.or.jp/sogo/news/detail.php?seq=121
http://www.mimihara.or.jp/sogo/news/detail.php?seq=89
《参考》有恒会報(大阪市立大学)205号
http://yukokai.osaka-cu.net/newsletter/2016/02/16105758
《大阪日日新聞「澪標」アートの力/文:中島裕司》2015.9.21
学校時代は、英数国といった受験科目の陰に隠れてしまい、肩身の狭い思いをしていた美術や音楽。芸術系大学以外は大学受験には関係ないし、将来職業に就くにしてもお稽古事として片付けられているが、よくよく考えると長い人生において、芸術は生活の喜びや豊かさをもたらしてくれる大切なものである。英数国も基礎教養や考える力を形成する上で、人生上、非常に大切なのは間違いないが、美術や音楽も、人間の感性を培う上で不可欠なものであり、生きていく上で非常に大切なものであることに変わりない。音楽を聴き、楽器の演奏を楽しむ。美術館に行き名画を鑑賞する。スケッチをしたり、絵画教室で絵を学んだりするのは幸せな時間である。日々の生活の疲れからくるストレス解消にもなる。同じ芸術といっても、音楽は直接的に、文学はじわじわとそして美術は直接かつゆっくりと魂に訴えかける。アートの力は思っている以上に大きい。シベリウスの「フィンランディア」がフィンランド人の魂を揺さぶり、ソ連からの独立運動に拍車をかけた。メキシコでは巨大な壁画をリベラ、オロスコやシケイロスなどの画家によって多く描かれ民族魂に火をつけた。一方で音楽や絵画が戦時中利用されることも多い。それほど力が大きいのである。例え大きな力を持たなくとも、ちょっとした芸術が人の心を癒やして、明日への希望へと導いてくれる。音楽を聴いてリラックスできたり、反対に魂を鼓舞したりもできる。最近、病院内でも壁画が描かれてリラックスできる雰囲気づくりに役立っている。病人は不安を抱えている。患者が少しでも気持ちが楽になり、免疫力が上がるという実験結果が出ているらしい。色彩の力や形が持つ力は大きい。赤い色を見ると興奮度が上がるし、緑色が目に入ると落ち着いた気持ちになる。丸い形は柔らかいし、とがった形は鋭い。ちょっとした縁で、堺市にある★耳原総合病院の交流ゾーンの大壁画プロジェクトに加わり、取り組むようになった。この病院の理念が素晴らしい。患者には貧富に関係なく接する。当たり前のようであるが、現実的にはなかなか難しい。人の命の重みに貧富は関係がない。医療と連携して明るい雰囲気の中、少しでも病人の不安をぬぐい去り、一歩でも治癒に近づけば、素晴らしいことである。お遊びと思われてきた芸術が、人生の根幹にあることを認識して、いろいろな場所でアートが取り入れられている。僕もその一環を担えることは、うれしいことである。
《略歴》
大阪府に生まれる。大阪大学外語学部(旧課程)卒業、大阪芸術大学大学院後期博士課程修了・芸術博士(芸術制作)。1989大潮会展特選1995コレ選展グランプリ賞2000国際美術大賞展佳作賞2002ル・サロン展入選2003国際美術大賞展NSギャラリー賞2007独立展入選。現在、日本美術家連盟会員、大阪芸術大学非常勤講師。大阪府河南町在住。
・・・病院もまるでミュージアム、これで待ち時間も気にならなくなりますね。