【江之子島「政府」】
1874年(明治7)7月、江之子島の大阪府庁舎は開庁したが、その時点での大阪府の管轄範囲は大阪市街地と摂津七郡(住吉、東成、西成、島上、島下、豊島、能勢)であり、旧河内・和泉国の地域は大阪府ではなく堺県の管轄であった。
1876年(明治9)堺県は奈良県を編入。
1881年(明治14)大阪府が堺県を編入。
1887年(明治20)大阪府から奈良県が分離。この時に大阪府は、現在の大阪府とほぼ同一の管轄範囲となった。このように大阪府はその初期には管轄区域を目まぐるしく変えていった地方行政組織だったのである。江之子島の府庁舎が完成して以来、大阪市民はこれを「政府」と呼んだ。世間の俗称とはいえ、地方行政庁舎を「政府」と呼ぶ例は他にない。
1914~1916年(大正3~5)明治初めに建てた府庁舎はその後手狭になったため、大正時代に入って増築することになった。工事は大正3年(1914)に始まり、同5年(1916)に竣工した。増築工事は、既存の左右両ウィング(南北翼)部分を取り壊して新たに大きな左右ウィングを木造で建築するもので、併せて中央部分は間仕切りを変更するなどの内部改造を行なっている。しかし正面玄関やドーム、中央ホール等は手を加えることなく以前のままを残した。当時はこの増築工事を「継ぎ普請」と言った。(※2006年に発見されて緊急調査された。)
1921年(大正10)増築したものの、それでも狭隘不便なため、大手前の地に新庁舎建設が議決された。
1923年(大正12)新築工事着手。
1926年(大正15)竣工し移転した。これが現在の大阪府庁舎である。旧西町奉行所建物から数えると三代目の府庁舎となる。江之子島の旧庁舎建物および敷地については、民間に払い下げて新庁舎建築費に充当することに決していたが、西区会等の地元行政組織や大阪商工会議所、大阪実業協会等の団体が民間払い下げ反対運動を起こし、産業博物館や公園の設置を陳情した。
1929年(昭和4)陳情通りにはならなかったが、旧大阪府庁舎は改装して「大阪府工業奨励館」として再出発することとなった。奨励館は工業技術に関する指導・試験検定・調査研究・講演・講習・技術者養成等々を行ない、大阪の工業発展に寄与した。
1945年(昭和20)しかしこのように保存された旧府庁舎建物であったが、大阪空襲により焼失してしまった。大阪でも最古の洋風建築の一つとされた旧大阪府庁舎の歴史は、この時に70年の歳月を経て閉じたのである。
【3代目大阪府庁舎】
540-8570大阪市中央区大手前2-1-22/
1926年(大正15)竣工。現行の都道府県庁舎として最も古い。そのため歴史的価値が高く、映画のロケなどが行われることもある。3代目となる現存の府庁舎本館建設に際し、府は設計図面を賞金8,000円の懸賞で募集、80点以上の応募の中から平林金吾の図面に岡本馨が手を加えたものが選ばれ、両者による設計を改変せずに建設された。平林はその後、名古屋市役所本庁舎(1933年竣工)を設計したことでも知られる。施工は大林組と清水組(現・清水建設)。1923年5月に起工され、同年9月に発生した関東大震災の影響もあり、設計の変更が加えられたという。隣接地に新庁舎を建築するため、一部を残し、撤去の計画であったが、財政難で計画が中止となった経緯がある。現在、事業の拡大、職員の増員等により狭隘となり、近接の民間ビルなどに間借りされた分室が多くなっている。なお、震災時の指揮については、耐震通信設備の整った別館(1964建設)において行われる。庁舎内に設置されている、指定金融機関であるりそな銀行の店舗は、旧大和銀行時代より、「大阪府庁支店」・「府庁支店」とは称さず、所在する住所名(中央区大手前)から「大手支店」となっている。
1989年(平成元)黒川紀章建築都市設計事務所の案を採用して「大阪府庁舎・周辺整備基本計画」を策定し、新庁舎の建設に着手した。
2007年(平成19)新別館南館・北館が竣工し、警察棟(大阪府警察本部庁舎)を着工した時期に府の財政危機が顕在化し、行政棟と議会棟の建設が凍結され、新庁舎建替えの正式な見送りを発表した。また、府庁舎本館は、今後発生が予想される南海地震・東南海地震などの大規模地震で倒壊する危険性があることが判明し★「耐震補強工事」が実施されている。
◆【現代美術の回廊ココア】◆
※現在「耐震補強工事」の為展示を見合わせております。
http://www.enokojima-art.jp/collection/cocoa.html
大阪府では、所蔵する約7,800点の美術作品による★「大阪府20世紀美術コレクション」を、皆様により身近なところで鑑賞していただくために、★大阪府庁本館1階から3階のフロアに『現代美術の回廊-ココア[COCOA]The Corridor of Contemporary Art』を設置しています。現在、美術品の管理は★「enoco」が行っています。
・・・耐震工事が始まって作品が観れなくなるというので、慌てて行った時の画像です。まだ保護されずにむき出しでした。ぎりぎりセーフ。
・・・美術館での展示ではないので「無防備」、しかも「耐震工事」が始まっています。
・・・描かれた「作品」も大切ですが「建物」も重要な「作品」です。共に大切にしていきたいものです。