★1963年7月1日~9月30日
「世界近代彫刻日本シンポジウム」(朝日新聞社主催)開催
すでに「世界彫刻シンポジウム」はユーゴスラヴィアやオーストリアで開催され大きな成果をあげたが、今回は日本で、朝日新聞社主催(経費負担)のもとに★神奈川県真鶴の道無海岸で1日から3カ月間開かれた。参加者は、富永惣一を委員長とする選考委員会によって選ばれた日本側6名の他、外国側5カ国6名。
「日本」本郷新、木村賢太郎、鈴木実、永井康雄(在パリ)、毛利武士郎、野水信
「外国」(フランス)クーチュリエ,ロベール(二点制作)、リプシ,モーリス(二点制作)(ドイツ)バウマン,ヘルベルト(キューバ)カルディナス,オギュスタン(2点制作)(スイス)ポンセ,アントワーヌ(イタリア)シニョーリ,カルロ
作品は東京新宿御苑に運搬され、全作品15点が10月5日から31日迄公開され、更に明年、オリンピックにはスタジアム周辺を飾る。
【参考】「馬の石」(一番大きな石の作品)/作:本郷新
http://www.hongoshin-smos.jp/sculpture/umanoishi/index.html
本郷新の石の彫刻は、1954年から形を単純化した頭像を数点制作しています。本郷の石の作品で一番大きいものは、1963年7月1日から9月30日までの3カ月間、神奈川県足柄郡真鶴町の県立公園真鶴半島道無海岸で開催された日本で最初の彫刻シンポジウム「世界近代彫刻シンポジウム」(朝日新聞主催)に参加して公開制作した「馬の石」(1963年)です。
シンポジウムは、国外から6人、国内からは本郷、木村賢太郎、水井康雄、毛利武士郎、野水信、鈴木実の6人の彫刻家が招待されました。使用された素材は、重量10トンをこえる新小松石(安山岩)です。当時最年長であった49歳の本郷は、シンポジウムのリーダーとして炎天下、若い彫刻家ともに寝食をともにしながら制作に取りくみました。彫刻とは展覧会に出品するためのもの、あるいは室内に飾られる愛玩的な存在ではなく、太陽の下の空間芸術としての存在を主張していた本郷にとってシンポジウムという形態は、アトリエ制作では得られない新鮮な体験でした。
制作した作品で唯一具象的な作品であった本郷は、「彫刻というものは、つくられたものが独りよがりでなく、説明がなくても見る人にわからなければならないと思っている。だからといって私は馬の写生をやったわけでもない。私は、抽象だとか具象とかいう風に区分けから出発することよりも、まず自分を制作にかりたてるリアリティというものが一番大切だとおもっている」と述べています。これまで具象を中心に制作してきた本郷が、彫刻家として今後進むべき方向を示した決意表明とも言える言葉でした。完成した作品は、現在富田林市のパーフェクトリバティー教団の大平和記念塔「彫刻の庭」に他の参加作品と共に野外設置されています。
【参考】真鶴半島
神奈川県足柄下郡真鶴町にある小さな半島である。海岸は高さ20mほどの岸壁が続く。陸上には松や楠、椎などの常緑樹の大木と、シダ類が生い茂る原生林が残されている。先端の真鶴岬の先には神奈川県の名勝地である三ツ石(正式には笠島という)がある。引潮の際にはこの三ツ石まで歩いて渡ることができる。真鶴半島でしか採取されない石として本小松石がある。なお、この真鶴半島の先端から、三浦半島の先端を結んだ線から北の海域を相模湾と呼ぶ。「世界近代彫刻日本シンポジウム」で使用されている石材は、真鶴半島の道無(みちなし)と言う所で採掘された「新小松石」です。道無海岸は、その名のとおり浜に降りる道がなく、リゾートマンションと採石場が海岸の陸側を占拠しています。
●「本小松石」
真鶴駅北西側の山麓緩斜面を構成する古期外輪山溶岩の内の1枚の溶岩で、厚さ40m以上あります。灰色緻密の複輝石安山岩で、斑晶鉱物として斜長石をわずかに含みます。流理構造はほとんど認められず、柱状節理がよく発達します。本小松石は墓石・間知石・割栗石・砕石に使用されています。東海道線より山側の真鶴町岩地区で20余社が現在でも採掘しています。真鶴半島産の新小松石に比べて、より緻密で細粒なのが特徴です。
●「新小松石」
真鶴半島を構成する溶岩で、厚さ約50mあります。本小松石に比べてややきめが粗く、斑晶鉱物として斜長石を多く含む複輝石安山岩です。流理構造がしばしば認められます。真鶴岬の溶岩(新小松溶岩)は、その上に重なるローム層の大磯丘陵との対比から、約16~17万年前に流出したものと考えられています。かつて真鶴半島部には数多くの丁場がありましたが、現在では採掘されていません。建築・土木・庭石など広い用途に利用されています。
※箱根ジオパーク
http://www.hakone-geopark.jp/area-guide/034manaduruhantousaisekijyouato.html
日本の現代石彫は1963年に神奈川県真鶴町で開催された「世界近代彫刻シンポジウム」に端を発しており、以後半世紀、経済状況の推移を受けながらコンクールやシンポジウムを手段として発表された石彫作品は日本各地に設置された。
◆PLアートシアター「ぷらっと」
等身大ぬいぐるみ人形劇団「カッパ座」の劇場(本部)
584-0091富田林市新堂2162/0721-24-9610
http://www.kappa-za.co.jp/main/sakuhin/index.html
劇団カッパ座は、大阪府富田林市に拠点を置く等身大ぬいぐるみ人形劇団です。1968年の設立以来、全ての子ども達に夢と希望を伝えるため、全国公演を開催しています。皆さまのお蔭で本年45年目を迎えています。子ども達を取り巻く環境は、日々変化しておりますが、その中に於いても日々の生活の中で夢をもつこと、感謝の心を忘れないことはとても大切なことですね。劇団カッパ座は、劇の前に唱和する合言葉にしあわせの種としてメッセージを込めて幕を開けます。「やくそくまもろう」「なかよくしよう」「あいさつしよう」是非、一度ご家族でお越しくださいませ。
・・・歴史的にも貴重な「世界近代彫刻シンポジウム」作品が鑑賞できる「PL大平和祈念塔」へ、機会があれば訪問してみてください。