中之島(17)
剣先公園には桜がたくさん植えられていたようです。とにかく「剣先の謎」を解くためには、長年「天神橋」や「剣先」を見守ってきたであろう「大林組」に行くしかなさそうです。
■大林組歴史館
当ビルは、大正15年(1926)6月に、株式会社大林組本店ビルとして建設されました。建物の外観は社内で設計コンペにかけられ、平松秀彦の案が採用されました。茶色のスクラッチタイル、テラコッタのレリーフ装飾、腰壁に滝山石を使用し、大正末期から昭和初期に流行したスパニッシュ・スタイルの外観の当ビルは、秀抜なデザインと確かな施工技術に支えられ、大阪の町とともにその歴史を刻んできました。戦前、戦後を通じて、本店ビルとして大林組の拡大・発展を支えてきた当ビルですが、昭和48(1973)に超高層の大阪大林ビルが完成し、同社の本社機構が同ビルに移転したことにより、その役割を一旦終えました。しかし、8年後の昭和56(1981)、外観はそのままに内部を改装して、辻学園調理技術専門学校(現 辻学園調理・製菓専門学校)として新たにスタートをきりました。その重厚な外観は、大阪市民に親しまれてきました。平成18(2006)、大林組は当ビルを「歴史的建造物」として保存することを決定し、大規模な耐震補強・補修工事を実施しました。そして平成19(2007)、「大林組歴史館」を併設し、名前も「ルポンドシエルビル」と変え、未来に向けて新たなる軌跡を描き始めました。
上方部の両端にはテラコッタの円形レリーフ。中央には各階の窓を囲む三連アーチと各階に貼られたテラコッタの装飾と最上部に並ぶ3つのベランダがひときわ目を引きます。中央の入口部分も見どころで、白いアーチ部分には上部に紋章、左右に一対の鷲を配置した華麗な建物です。随所に使われている彫刻は、同じ大林組設計部の大塚尚武の作品です。スクラッチタイルの施された外壁と、均等に並ぶ窓のスパニッシュスタイルが特徴的な建物です。北面が土佐堀川で、川辺との高低差を埋めるためスキップフロアが採用されています。内部も多様なモチーフが用いられていて、エレベーター上部には、花と人面の鳥を象ったアールデコ風の装飾があります。
■LE PONT DE CIEL(ルポンドシエル)
1973年5月「大阪大林ビル」完成を記念し、その大阪随一の眺望を生かした本格的フレンチレストランとして「ルポンドシエル」が誕生しました。ルポンドシエル【Le Pont de Ciel】の『Pont』は『橋』、『Le Ciel』は『空』のことで、ルポンドシエルは『空に架ける橋』という意味です。お店が大林組本店ビルの30階にありましたので、このような名前になりました。その後、2007年11月、土佐堀通りの北側の歴史的建物へ舞台を移し、積み重ねてきた歴史に、更なる新たな感動を求めて歩み始めました。今は隣に『天神橋』というのがありますが、『天神橋』もフランス語に直すと『天』というのは『Le Ciel』、『橋』は『Pont』となり、併せてルポンドシエルとなります。お客様のくつろぎと味覚を結ぶ文化の架け橋でありたいという思いを込め良い料理・良いサービスをモットーに今日に至りました。2010年5月、リヨン近郊シャスレーにある2つ星レストラン「ギィ・ラソゼ」と提携、同じコンセプトを持つギィ・ラソゼとのコラボレーションで生まれる新たな感動をお届けして参ります。
大林組は「東京スカイツリー」も手がけていたのです。