ワニわにワニ(2)
「クロコダイル」ブランドの名誉回復のために・・・
■クロコダイルは、日本のヤマトインターナショナルのブランドの一つです。あの「hiromichi」の中野裕通さんと同じ系列です。大手百貨店やブティックで必ず目にする創業50年の老舗ブランドです。クロコダイルは元々シャツから展開していた繊維ブランドで、1937年の創業です。
1963年、香港を発祥とする「クロコダイル」ブランドは、日本で新たな歴史をスタートさせました。まだ“カジュアルファッション”という言葉が世間に根付いていない時代、当時、このブランドは軽衣料業界において、エポックメーキング的存在となりました。一つは、その後の高度経済成長期に巻き起こる「ワンポイントブーム」の牽引役となったこと。ポロシャツやハイネックシャツ、セーター、スイングトップなどにワニのワンポイントを刺繍し、カジュアルアイテムへと拡大したことにより、爆発的なブームとなりました。もう一つは、メンズファッションのカジュアル化に先駆け、マーケット拡大を予見する象徴的なブランドと認識されていました。その頃には毎年、鹿の子のポロシャツとパール編みのセーターを、年間100万枚製造・販売しており、そのことからも、カジュアルウェア・ブランドとして、当時から絶大なる支持を得ていた事が伺えます。
■ラコステは1933年創業
ということなので、てっきり「クロコダイル」は「ラコステ」のパクリ?だと思っていたのですが、実際に「ラコステ」が日本に入ってきたのは1971年だということがわかりました。「クロコダイル」は「ラコステ」が日本に参入する前にワニのロゴを商標登録していましたので、「ラコステ」は日本で「ワニ」のロゴを使用する時には、下に「LACOSTE」とブランド名も表示しなければならないという制限が付けられそうです。「ラコステ」と「クロコダイル」どちらもほとんど同じ時期にブレイクしたブランドなのです。
■顔の向きが違う
ラコステとクロコダイル、どちらも同じように「ワニ」をブランドロゴとしたスポーツウェアを中心として展開しているブランドです。ラコステとクロコダイルの違いは「ワニ」の向きです。ちなみに右向きがラコステ、左向きがクロコダイルです。角度やサイズも微妙に違います。ラコステはクロコダイルより少し小さくまっすぐに。クロコダイルは斜めになっています。ラコステは海外ブランドですが、クロコダイルは国内ブランドです。2つのブランドともに、ゴルフやテニスウェアでは定番のポロシャツやカーディガン、バッグ、帽子、スニーカー、水着、財布などメンズからレディースそしてキッズなどのファミリー向けにも展開しています。
■ラコステのニックネームが「ワニ」
ラコステは元テニスプレーヤーで、引退して4年後に創業したのが「ラコステ」です。そのブランド名「ラコステ」は現役テニスプレーヤー、ルネ・ラコステの粘り強い戦いぶりをみて「ワニのような戦いだった」と絶賛。以来、ラコステはアメリカでは「アリゲーター」フランスでは「クロコダイル」と呼ばれることとなったのです。ラコステの頃のテニスウェアは、白のシャツとパンツでした。スポーツするにはあまりにも動きの鈍い服だったので、そんな現役時代の苦労を元に開発したのがラコステのポロシャツなのです。「半そで・襟がリブニットボーダー・伸縮性がよい・軽い」ことで知名度をあげることなりました。また、フランスでは「フレンチ・ラコステ」といってシルエットのキレイな細身で丈の長いものがブレイクしました。現在ではポロシャツやカーディガン、バッグなどのほかに香水や時計、マクラーレンとのコラボベビーカーなど手広くいろいろなラインを展開しています。
■フララコ
フランス展開のポロシャツは他国生産のものと異なり、やや細身で着丈が長くシルエットが美しいため、「フレンチ・ラコステ」(通称フララコ)と呼ばれ珍重されていました。しかし近年フランスでの生産が終了したことにより、現在フランスラコステと呼ばれている新品のポロシャツは主にモロッコ製で、フランス製を手に入れることが出来なくなっています。フレンチラコステの魅力は不変のデザイン。フレンチカラー(襟)やパフスリーブ、裾のスリットは、ラコステポロシャツ誕生以来、基本デザインをほとんど変えていません。この先いつ、どんな時代に着ても違和感の無い、永遠の定番とも言える安心感。他のブランドではなかなこうはいきません。フレンチラコステの特徴の一つがシェル(貝)ボタンです。1980年代までの古着のラコステには2つ穴のシェルボタンが使われています(現在の日本企画の商品にも使われています)。アイゾットやアジアライセンスものは4つ穴のプラスティックボタンが使われています。洗濯を繰り返すと厚みがなくなってきたり、プラスティックと比べて強度が弱かったりという欠点もありますが、風合いという点では自然素材のシェルボタンの方が良い。コットン100%のボディにもしっくりくるような気がします。フレンチラコステは白系のシェルボタンが大半を締めていますが、中には黒っぽいボタンも見つかります。ボディーカラーによって使い分けていたようです。
