中之島散歩(2)
中之島レトロではずせないのが・・・
■大阪市中央公会堂(旧中之島公会堂)
1911年(明治44年)、株式仲買人である岩本栄之助が公会堂建設費として当時の100万円を寄付したことにより、1911年8月に財団法人公会堂建設事務所が設立され、建設計画が始まった。北浜の風雲児と呼ばれた相場師・岩本栄之助は渋沢栄一が団長となった1909年(明治42年)の渡米実業団に参加し、アメリカ大都市の公共施設の立派さや富豪たちによる慈善事業・寄付の習慣に強い印象を受けた。彼は父の遺産と私財をあわせた100万円を公共施設建設に寄付することを決め、蔵屋敷の廃止後衰退し再生を模索していた中之島に公会堂を建設することにした。
設計は、懸賞付き建築設計競技(最終的に13名が参加)により岡田信一郎案が1位となり、岡田の原案に基づいて、辰野金吾・片岡安が実施設計を行った。1913年(大正2年)6月に着工、1918年(大正7年)11月17日にオープン。
■中之島図書館
住友家の寄付を受けて建造が開始され、1904年(明治37年)に「大阪図書館」として開館した。設計は野口孫市、日高胖。大阪図書館は、開館直後の1906年(明治39年)に「大阪府立図書館」と改称される。以来、長く唯一の府立図書館であったが、1945年(昭和20年)に大原社会問題研究所の蔵書の寄付を受け、1950年(昭和25年)、天王寺分館を建ててそこに大部分を収めた。1974年(昭和49年)、両館共名称変更があり、大阪府立図書館は「大阪府立中之島図書館」に、天王寺分館は「大阪府立夕陽丘図書館」と改められた。中之島図書館が国の重要文化財に指定されたのはこの年である。
大阪市の橋下徹市長と大阪府の松井一郎知事は2012年6月19日の府市統合本部会合で、大阪市北区の中之島図書館を廃止し、別の施設として活用する方針を表明した。活用方法は未定。会合後、松井知事は「例えばあそこで事業をしたいという公募事業者は、ものすごい数がいるはずだ。すごいスポットになる」と説明。橋下市長も「あんなところに図書館を置く必要はない」と述べ、集客施設などに活用する意向だ。中之島図書館は本館が1904年に建設され、円柱が並ぶギリシャ神殿風の正面玄関など格調高い外観が特徴で、観光客からも人気が高い。本館は重要文化財に指定されており、約55万冊の蔵書がある。
■なにわ橋駅出入口(京阪中之島線)/設計:安藤忠雄
2008年10月19日開業/竣工:2008年10月/住所:大阪市北区中之島1
難波橋(ライオン橋)のすぐそばに建設中の京阪電車・中之島線のなにわ橋駅。駅構内にコミュニケーションカフェ”アートエリアB1”があり、イベントや展示会が催されるなど面白い試みも。安藤忠雄氏がデザインした出入口は、難波橋から中央公会堂に続く街路のゲートをイメージして設計され、中之島の近代建築や真横を流れる二つの川との融合を図っている。内側背後にはLFD照明を内蔵したガラスブロック壁を採用し、照明に濃淡のグランデーションをつけることで、階段の昇降時には水中へ潜るような気分にさせる演出も施される。非常にシンプルなデザインの出入り口が、夜間の青く浮かび上がるようなライトアップとその先にある中央公会堂との対比を引き立たせている。