防災・危機管理アート(12)
■段ボール製ガンダム、震災避け福岡に立つ/宮城の生徒作
福岡県久留米市の県青少年科学館に人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズに登場するロボット4体の模型が立っている。ガンダムEz8、ザク、ゲルググ、ドム。段ボール製でいずれも3メートル超の大きさだ。東日本大震災の影響を受け、被災地・宮城からやってきた。段ボールガンダムは、仙台市の北、太平洋に面する宮城県塩釜市の塩釜高校の文化祭の目玉として、2001年から毎年、生徒の有志が作ってきた作品の一部。プラモデルの写真を基にパソコンで図面を作り、拡大した図面に沿って数十枚の段ボールを切って、つなぎ合わせた力作だ。2011年3月11日、地震と津波が町を襲った。中心部には水が押し寄せ、車がひっくり返った。ロボット作りを指導してきた理科教諭の小川進さん(58)は当時、高台にある高校にいた。高校に津波は来なかったが、港近くの元宿泊施設に保管してある歴代十数体のロボットのことが心配になった。「10年分の財産。そう簡単に作ることはできない」翌日、小川さんは、なかばあきらめつつ、保管先を訪れた。だが、行ってみると、津波の跡は施設の直前で途絶え、被害はなかった。「奇跡だ」と思った。だが、思わぬ形で震災の余波を受けた。10月、市有財産となっていたこの施設を、津波で工場が被災した複数の会社が使いたいと言っていたため、入札に。保管場所を失うこととなった。「段ボール制作が文化として伝わっていくには、身近に先輩の作品があることが大事」と思って来た小川さん。手元から放すのは惜しかったが、やむを得ず、保管先を探した。同月、故郷・久留米市にあり09年に展示会を開いた福岡県青少年科学館に移すこととし、6体を塩釜から運んだ。一方、毎年、制作期間に充てていた夏休みは、震災で減った授業時間を確保するため、例年より短縮。このため、昨年のロボット制作はあきらめた。震災前の10年は当時の2、3年生が制作。今の3年生が卒業すると経験者はいなくなる。「ゼロから教えることになるが、せめて来年再生させたい」津波で自宅を失い、現在も仮設住宅で暮らす小川さん。「津波は(技術の伝承という)無形のものをも奪ってしまった」と悔しがる。科学館に移したロボット6体のうち、展示しているのは4体。このうち3体は科学館が引き取り、今後も常設展示する。残る3体は科学館を通じて、引き取りに応じてきた長崎県の壱岐・対馬や福岡県内の団体などに譲る予定。
■強化段ボールで作られるトルソー「D-torso」
http://www.wtv.co.jp/index.html
これらの商品は有限会社アキ工作社が開発した組立式マネキンd-torso(ディートルソ)を用いてつくられたもので、このシステムは段ボール等の板材を、レーザー加工機を使って切断加工して部品を作成し、これを組立てる立体造形物で、ディスプレイ用人台として開発された立体造形だそうです。(2001年グットデザイン賞受賞、特許出願中「型板組み合わせの造形構造」)このシステムには二つの特徴があり、一つは金型を必要とせず、形態の設計から加工まで、すべてコンピュータ上で処理されるため、デザイン、設計行程はスピーディーで、サイズ変更、形態の修正も容易におこなえまるそうです。スケールダウンしたミニチュアやより複雑な形態も自由に造形することができるということです。もう一つはレーザー切断機で加工するため素材を選ばないそうです。例えば強化段ボール、木素材(MDF), アクリル、アルミ、ステンレス etc.cその特性をうまく生かして様々な立体ミニチュアが販売されています。豚やイヌ、ネコ、ムーミンなんてモノもあります。またミニチュアだけでなく大型の本格的なトルソーも公式サイトでは見る事ができます。
■hacomo(ハコモ)がおりなす素敵な段ボールの世界
簡易な紙の材質でありながら、その波型の内部構造などで信じられないほどの強度を持つ「段ボール」。その段ボールを使ってさまざまなおもちゃを生み出し、「作る楽しさ」と「共通の話題を得て他人と語り合うコミュニケーションを満喫する」ことを提案している商品群がある。それが【hacomo(ハコモ)】と呼ばれるもの。
■本堀雄二
捨てられたダンボールを素材に仏像を作るアーティスト。鳥肌が立つほどに神々しいフォルムを持つ、まさしく「仏像」たち。これがダンボールによって作られているなんて、にわかに信じ難いのだが、見る角度を変え、真横から眺めてみると、様々な色や文字が散りばめられた、ありふれたダンボールの切れ端だ。夏休みに作った図画工作のようなガラクタ的な雰囲気すら感じるのに、視点を移動させていくと、ある瞬間、そのダンボール工作が思わず手を合わせてしまうような美しさを見せる。
もともと建築廃材を使ったオブジェの制作を行っていた本堀さん、仏像をテーマにした制作に取りかかる過程で、ダンボールというありふれた生活廃材に目が止まり、2005年から現在のスタイルでの制作を行っているという。しかし、優れた仏像の持つなめらかな曲線を、ダンボールで作り上げるのは相当難しい。「仏像というものは、正面以外の情報が少なく、全体像が把握しにくいんです。そこが難しいところではありますが、正面以外の部分がどうなっているのか、頭で想像しながら作業するのは楽しいですよ。また、透明性を強調するために、少ないダンボールで強度を保つのが難しいポイントかもしれません」という。素材として使用するダンボールの選び方は「強度のある野菜・果物・ドリンクなどに使うダンボールを選んでいます」「スーパーマーケットで、使用済みダンボールの積まれた中から頂いております」と。展示されている仏像の内部には正円が透けて見え、この美しさも印象的だったのだが、これについては「平和、リサイクルの循環の輪を表しています。後光が射すよう な、透過を強調するものでもあります」とのこと。また、仏像の胎内には、「胎内仏」と呼ばれる小さな仏像や経文などが納められていることが多いが、そのイメージを表現したもので、仏像に魂を込めるという意味合いでもある。「透過」という要素も本堀さんの作品において非常に重要なもので、一つの作品に向き合った際に、その背後にある複数の作品が透けて見える様子は、なんとも神秘的だ。好きな仏像は「奈良・聖林寺の十一面観音像」ということです。
震災からの復興、安らぎの日々は・・・
まだまだ・・・です。