キャンドル(4)
蝋人形は医学的な必要から誕生した。研究に使用する死体の保存のため、蝋解剖模型が作られたのが蝋人形の原型である。死体を蝋人形化する手法は17世紀にヨーロッパで完成された。研究用の人体パーツの代わりとして作成された蝋の手足や器官もその発達を促した。後年には、歴史上の重要な場面を再現する教育的ページェントの目的で、世界各地に蝋人形館が作られた。さらに現代に入ると、各界の有名人や偉人の姿を模した蝋人形が人気を博すようになった。現在の蝋人形館は、キワモノ的見世物として秘宝館化している。
蝋人形の作り方
モデルの石膏型を取り、蜜蝋または樹脂とプラスティックの合成物を流し込む。型取りが終わったものに、血管やしわなどの細部を描き込む。髪の毛を植え、ガラスの目玉や入れ歯などを装着する。
1835年、フランス人のマリー・グロショルツによってロンドンに開館された「マダム・タッソーの蝋人形館」。マダム・タッソーはギロチンでチョン切られたマリー・アントワネットの生首を持ち帰り、デスマスクを作成した逸話をもつ人物。フランス革命の血なまぐさい再現場面、エルヴィス・プレスリー、マリリン・モンローなどの有名人の蝋人形が定番。日本人では似ていない横綱・千代の富士、なぜか吉田茂元首相が展示されている。ニューヨーク館にはジュリアーニ市長、香港館には浜崎あゆみの蝋人形も。アメリカ初の蝋人形館は、1949年、ジョージ・L・ポターがフロリダに開館した。
東京タワー蝋人形館
1970(昭和45年)に開館しました。日本で最初に開設されたアジア最大の常設蝋人形館。後に日本マクドナルドを創業する藤田田が、アメリカで蝋人形館のノウハウを持っていたインターナショナルレジャーコーポレーションと手を組んで実現。展示されているろう人形は、ろう人形館発祥の地、ロンドンの工房から直輸入したものです。2001年にリニューアルし、「20世紀を飾った人たち」をテーマに国内外で活躍した人物が追加されています。中でも宇宙開発事業団の協力を得て製作された、毛利衛さん・向井千秋さんは人気があります。さらに、世界中のろう人形館でもここにしか展示されていないロックミュージシャンのろう人形は必見で、CDの販売もしています。ろう人形を見ることで、自分自身の歴史を思い起こさせることになるに違いありません。一部撮影不可。
蝋人形館の看板は、丸に「田」のマーク。ここのオーナーであり、ジャーマンプログレ・マニアと噂される日本マクドナルド社長藤田田氏の息子、藤田元氏のさりげない自己主張か?はたまた・・・「田に輪」で「タワー」だとするならば、かなり関西的。
1967年に発売されたビートルズのアルバムジャケット撮影で使われた本人たちのろう人形が2006年3月24日から、世界で初めて東京都港区の東京タワー蝋(ろう)人形館で公開された。2005年、約40年ぶりに発見された「幻」の人形で、ビートルズ世代から若者のファンまでtが心を熱くした。ろう人形はアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」で使われた。人形を製作した英国・マダム・タッソー蝋人形館の倉庫で2005年に人形の頭部が発見された。東京タワー蝋人形館を経営する会社がオークションに出品されたろう人形を約1500万円で落札した。同館は「ビートルズを生で知る人は若いころを思い出して、知らない人にももっと身近に感じてほしい」と期待を込めた。