えへっ(75) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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萬国パクランカイ(26)


すくらんぶるアートヴィレッジ(略称:SAV)-つね1


■狐火(きつねび)

沖縄県以外の日本全域に伝わる怪火。ヒトボス、火点し(ひともし)、燐火(りんか)とも呼ばれる。人々の寝静まった夜中 、提灯のような火が点滅しつつ、十個から数百個も行列をなして現れる 。行列の長さは一里(約4キロメートルあるいは約500~600m)にも渡り、その数も次第に増えたかと思えば突然消え、また数が増えたりもする。火の色は赤またはオレンジ色が一般的だが、青い火の目撃例もある。その名の通り狐と密接な関係があるとされ、狐の吐息が光っているという説が多いが、他にも狐が尾を打ち合わせて火を起こしているとも、狐の持つ狐火玉と呼ばれる玉が光っているとも言われている。寛保時代の雑書『諸国里人談』では、元禄の初め頃、漁師が網で狐火を捕らえたところ、網には狐火玉がかかっており、昼には光らず夜には明く光るので照明として重宝したとある。現れる場所は道のない山腹など、人の気配のない場所であり、人の気配を感じると姿を消してしまうとされる。逆に人をどこまでも追いかけてきたという伝承もある[ 。狐が人を化かすと言われているように、狐火が道のない場所を照らすことで人の歩く方向を惑わせるとも言われており、そのようなときは足で狐火を蹴り上げると退散させることができるとされる。逆に長野では、ある主従が城を建てる場所を探していたところ、白い狐が狐火を灯して夜道を案内してくれ、城にふさわしい場所まで辿り着くことができたという話もある。正岡子規が俳句で冬と狐火を詠っている通り、出没時期は一般に冬とされているが、夏の暑い時期や秋に出没した例も伝えられている。


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山形県の出羽や秋田県では狐火を狐松明(きつねたいまつ)と呼ぶ。その名の通り、狐の嫁入りのために灯されている松明と言われており、良いことの起きる前兆とされている 。岡山県・備前地方や鳥取県では、こうした怪火を宙狐(ちゅうこ)と呼ぶ。一般的な狐火と違って比較的低空を浮遊するもので、岡山の邑久郡豊原村では、老いた狐が宙狐と化すという。また同じく邑久郡・玉津村の竜宮島では、雨模様の夜に現れる提灯ほどの大きさの怪火を宙狐と呼び、ときには地面に落ちて周囲を明るく照らし、やがて跡形もなく消え去るという。明治時代の妖怪研究家・井上円了はこれに中狐の字を当て、高く飛ぶものを天狐、低く飛ぶものを中狐としている 。狐火を鬼火の別称とする説もあるが、一般には鬼火とは別のものとして扱われている。


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■王子稲荷の狐火

東京北区 王子の王子稲荷は、稲荷神の頭領として知られると同時に狐火の名所とされる。かつて王子周辺が一面の田園地帯であった頃、路傍に一本の大きな榎の木があった。毎年大晦日の夜になると関八州(関東全域)の狐たちがこの木の下に集まり、正装を整えると、官位を求めて王子稲荷へ参殿したという。その際に見られる狐火の行列は壮観で、近在の農民はその数を数えて翌年の豊凶を占ったと伝えられている。このことから榎の木は「装束榎」(しょうぞくえのき)と呼ばれ、よく知られるところとなり、歌川広重『名所江戸百景』の題材にもなった。


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■装束稲荷

木は明治時代に枯死したが、「装束稲荷神社」と呼ばれる小さな社が、旧王子二丁目電停(現在の「ほりぶん」前の交差点)の近傍に残っており、一帯は以前には榎町と呼ばれてもいた。地元では地域おこしの一環として、1993年より毎年大晦日の晩に、「王子狐の行列」と呼ばれるイベントを催している。


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■『江戸砂子』王子稲荷の段

狐火おびただし、この火にしたがひて、田畑のよしあしを所の民うらなふことありといふ。
(訳) 狐火がおびただしい。当地の農民はこの火によって田畑の豊凶を占ったりするという。


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狐火にわうじ田畑のよしあしを知らんとここに金輪寺かな

年毎に刻限おなじからず、一時ほどのうちなり。宵にあり、あかつきにありなどして、これを見んために遠方より来るもの空しく帰ること多し、一夜とどまれば必ず見るといへり。
(訳) 狐火の現れる時刻は年によって違うが、1~2時間ほどのことだという。晩に現れることもあれば明け方に現れることもあり、遠方からわざわざ見に来た人も見ずに終わることが多いが、一晩中待機していれば必ず見られるとのこと。


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