久しぶりの・・・蛙ニュース
■2010年1月
エクアドル西部の熱帯雨林から、体がガラスのように透明なら新種のカエルが発見された。体が透明なために、心臓などの内臓が見えてしまっている。また、現地ではこのほかにもカタツムリの殻に鼻を滑り込ませて中のカタツムリを吸うヘビや、木の上に卵を産み付けるカエル、肺のないサンショウウオなどあわせて30もの新種が発見されたという。ワクワクするような話だが、残念なことに発見地域はすでに森林伐採がかなり進んでおり、すぐに絶滅するのではないかともみられている。こういうカエルは世界に150種類以上いる。
■2010年5月
北九州市を流れる板櫃(いたびつ)川沿いの親水広場で、片脚のないカエルが大量に発見された。現在はカエルだけで、他の魚類などに異常は見つかっていないが、市は公園を立ち入り禁止にし、北九州市立大などに水質と土壌検査を依頼して原因を調べているそうだ。原因がわかるまでの間、住民の広場への立ち入りは禁止されたという。北九州市によると、5月8日、親水公園「水辺の楽校」で遊んでいた子供が後ろの片足がないカエルを捕獲し、市に連絡してきた。11日に現場を調査したところ、7匹捕まえたツチガエルのうち1匹の後ろ脚の片方がなかったという。市立自然史・歴史博物館にも別の市民から情報提供があり、5月半ばに同じ場所で90匹のツチガエルを捕まえたところ、45匹の後ろ脚の片方が同様に欠けていた。欠損部はむき出しではなく、すべて皮膚で覆われていた為、人為的ないたずらではなく奇形の一種と思われる。市は、現場付近の水質調査を定期的に実施しているが、今年3月までの調査では異常はなかったという。水は市の環境科学研究所、泥は北九州市立大で調査中で、今月末に分析結果が出る予定だ。他にも市は現場付近でカニや魚を採取したが、異常はなかったという。
片脚が欠けていたのは、すべてツチガエルの幼体(子ども)で、体長約2~3センチ(脚を除く)。ツチガエルは国内のほぼ全域に生息しており、夏から秋にかけて産卵し、オタマジャクシの状態で越冬するのが特徴。成体になると体長約6ンチまで成長するというが、今回は成体はまだ捕まえられていないため、脚を欠損したものがいるかどうか不明。九州大名誉教授の小野勇一さん(動物生態学)によると、脚が欠損したカエルは世界各地で確認されており、原因として寄生虫や他の虫に食べられるケースが多く、化学物質や放射線が影響したり、遺伝子異常で発現したりするケースもあるという。90匹のうち45匹が奇形という発現率は非常に高いといい、小野さんは「珍妙な例。卵から変態するまでの間に外因で欠損したのでは」とみている。
■2011年2月
皮膚が半透明で内臓や血管が透けて見えるカエルの量産に、広島大大学院理学研究科の住田正幸教授(60)が成功した。名付けて「スケルピョン」。医学や生物学での新しい実験動物や学校教材となる可能性を秘める。
スケルピョンの種は本州、四国、九州に分布し、山の近くにすむニホンアカガエル。スケルピョンには本来3種類ある色素細胞が1種類しかない。解剖が必要ないため、内部を幼生(「スケルジャクシ」)から生涯にわたり観察できる。例えば長期間、病気の進行や薬の効き具合を調べることなどが考えられる。
「殺さずに済むような実験動物を誕生させられないか」と、2000年ごろに住田さんが発案。黒色の色素細胞がない突然変異体(グレーアイ)と、光を反射する色素細胞がない突然変異体(ブラックアイ)とを数世代にわたって交配し、生み出した。透明の魚類はメダカなどでつくられているが、両生類ではスケルピョンが唯一だ。
07年に誕生を学会で発表した後、成体を約200匹まで増やし、量産のめどが立った。名前は「透ける」と「スケルトン(内部が透けて見える)」にかけた。
住田さんによると、動物愛護の伝統がある欧州で関心が高く、誕生発表時には、海外の通信社が配信。複数の日本商社が輸出品として興味を示し、昨年はインド企業から問い合わせがあったという。住田さんは「完全シースルーを狙っている」と話す。
課題は、スケルピョン同士をかけ合わせた2代目の生活力が弱いこと。普通なら成体になってから3~4年は生きるのに、ほとんどが1~2カ月で死んでしまう。だが長く生きる個体もあり、住田さんは強い系統を採り入れることで解決できるとみている。準備が整えば今月から、ノーベル化学賞を受けた下村脩(おさむ)さんが見つけた緑色蛍光たんぱく質(GFP)を入れた遺伝子を、スケルピョンの卵に注入する試みを始める。遺伝子の情報が細胞内で読まれ始めると発光する仕組みで、この遺伝子がいつ、どこで働くかを観察できるという。
哺乳類は皮膚の構造が両生類や魚類とは基本的に違うため、「スケルマウス」や「スケルラット」を誕生させることはできないという。住田さんは今後、生物に興味を持つ小中学生らの教材や、愛好家向けのペットとしての利用も期待している。
■2011年11月
北九州市八幡東区の板櫃川で昨年、片脚がないツチガエルが大量に見つかった問題で、北九州市は18日、発生原因を「化学物質や遺伝などでなく、オタマジャクシの段階でヤゴに食べられた」とする調査結果を発表した。調査した専門家は「自然の偶然がいくつも重なって起きたと考えられ、生物学的に非常に興味深い事例だ」と指摘した。
片脚がないツチガエルは昨年5月から市民の連絡を受けた市の調査で数十匹相次いで見つかった。現場の水質を分析しても異常はなく、市は専門家でつくる「調査検討委員会」(委員長、小野勇一・九州大名誉教授)を設置。調査委はヤゴによる捕食の可能性が高いとみて調べていた。
調査報告書によると、ヤゴとツチガエルのオタマジャクシを同じ場所で飼育実験。オタマジャクシに生えてきた後脚などをヤゴが捕食したことを確認した。また、化学物質や紫外線などによる奇形との類似性が低いことも確認した。
さらに▽発見現場はツチガエルなどが好んで生息する湿地だった▽ツチガエルはオタマジャクシで越冬する場合があり、ヤゴに捕食される危険性が高い▽昨年はヤゴが大量発生していた--などの要因から、オタマジャクシ段階でヤゴに後脚を食べられたことが発生原因と結論づけた。
また、今春に市内の河川や貯水池を調べたところ、板櫃川と周辺だけでツチガエルが見つかった。だが、後脚のないカエルは確認されず、ヤゴも激減していた。
調査委委員で市立自然史・歴史博物館の武石全慈(まさよし)学芸員は「現場の湿地は昨年7月の大増水で大半が消失していた。捕食が起きた要因はいろいろな条件が重なったためだが、自然豊かな湿地の存在が大きいのではないか」と分析。小野委員長は「自然の中ではたくさんの偶然が起きる。都市部でカエルの数が少なくなる中、北九州にツチガエルがいる自然があることは大きな財産だ」と指摘した。
このような縁起が良い(お金がたまる)とされる三足の蛙は、単なる想像上の生き物かと思っていましたが・・・ニュースのような自然界の出来事によって実際にあるんだなあと感心しました。また、突然変異という進化の不思議もあります。自然って・・・すごい。