えへっ(54) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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萬国パクランカイ(12)


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■オーブリー・ビアズリー(1872~1898年)Aubrey Vincent Beardsley

19世紀末、退廃と耽美の時代に活躍した英国の挿絵画家です。挿絵のほとんどは、ブラックとホワイトからなるモノトーンのペン画です。ビアズリーは、オスカー・ワイルドの背徳的な戯曲『サロメ』の挿絵によって、一躍脚光を浴びるようになりました(1894年)。ワイルドの『サロメ』は最初フランス語版で発表されたのですが、それを読んでインスピレーションを得たビアズリーが、サロメにヨカナーンの首が渡されるシーン(クライマックス)を描いて評価され、英語版の全編の挿絵を担当するようになったという経緯があります。このほか、ビアズリーが挿絵を描いた作品には、フロベールの『ボヴァリー夫人』、T.マロリーの『アーサー王の死』などがあります。


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ビアズリーの挿絵は、繊細かつ装飾的な線、プロポーションの過剰なほどの歪曲が特徴となっていて、その画風は葛飾北斎の影響を受けたと言われています。戯曲『サロメ』のクライマックスの挿絵『おまえの口に口づけしたよ、ヨカナーン』のサロメの人物描写では、欲望にとりつかれた人間の内面がにじみ出ていて、ぞっとするほどです。ただ、オスカー・ワイルド自身は、ギュスターヴ・モローが描くようなビザンチン風のサロメが好きだったようで、ビアズリーの挿絵は気に入らなかったということです。悪魔的な鋭さを持つ白黒のペン画で鬼才とうたわれましたが、病弱ゆえに25歳の若さで夭折しました。彼の作品はハリー・クラークやバイロス、フォーゲラー=ヴォルプスヴェーデなど多くの画家に影響を与えました。日本では、水島爾保布、米倉斉加年、佐伯俊男、山名文夫たちの作品にビアズリーの影響が濃厚です。漫画家では山岸凉子や魔夜峰央がビアズリーからの影響を自認しているほか、手塚治虫もその作品『MW』で彼の作品の模倣を行なっています。


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■オーブリー・ビアズリー没後に出版された、収録されているのが全て贋作という、H.S.ニコラス編の「ビアズリー50葉画集」です。1920刊。『未発表サロメ1点(!)を含む、秘蔵ビアズリー未発表作品コレクション』と称して入場料を取って展覧・即売し、限定版画集として刊行したのが本書です。予約者のみ頒布の限定500部、現在でもこの装丁や収録作品の一部が、米独で出版されている安手のペーパーバック画集やビアズリー作品集に収録されています。ビアズリーの書誌では「最も有名な贋作の一つ」として挙げられています。


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■オーブリー・ビアズリー贋作集@17枚 【ポー挿画集】

1926年に米国インディアナポリスの『オーブリー・ビアズリー倶楽部』という謎の団体から会員向けに限定で107部販売された『ビアズリーが描いたEdgar Allen Poe挿絵集』、17枚中13枚が贋作です。ビアズリーの作品集のうち有名な(=書誌等でも”認知”されている)贋作集が2冊あってその1冊にあたります。ビアズリー肖像と真正の4点「Published Before Illustrations to Edgar Allen Poe By Aubrey Beardsley(この画集以前にビアズリーによって発表されたもの)」と「Unpublished(未発表)」と題 した贋作が13点収録されています。タイトルのエドガー・アラン・ポーの名前がAllen(アレン)と誤植なのはご愛嬌。


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■『MW』(ムウ)/手塚治虫

「ビッグコミック」(小学館)1976年9月10日号 - 1978年1月25日号に連載された。同作品を原作とした日本映画が2009年7月4日より公開された。また同年6月30日には、映画連動企画のテレビドラマも放映された。本作は「同性愛」と「猟奇殺人」を題材として扱っており、数多くの手塚作品の中で異彩なものとなっている。

タイトルであり作中の化学兵器の名でもある「MW」とは、主人公・結城が得意とする犯行の際の、女装や男娼的行為から「Man&Woman」との説がある。また、映画版公式サイトでは「Man&Woman」の他に「Mad Weapon」という説や、「180度回転させても同じなので『人の価値観は常に反転の可能性をはらんでいる』との解釈もある」と書かれている。また、小説版では、賀来は「Monster Way」の意味だと解釈している。また、化学兵器の漏洩というエピソードは1969年7月8日に沖縄のアメリカ軍基地内の知花弾薬庫で起こったサリン漏洩事故が下敷きになっていると考えられる。


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