井の中(6)
■「晴明神社」京都市上京区堀川通一条上ル806
平安時代の呪術師「陰陽師」安倍晴明を祀る神社。晴明神社がある場所は、もともとは晴明が住み、御所の鬼門を守っていた場所。ということで、境内には晴明ゆかりのパワースポットが数々存在する。境内のあちこちで目にする「五芒星」は、陰陽道における強力な“魔よけ”のマーク。晴明が考案し、呪術を用いる際に使用したというこの「五芒星」は、晴明神社の社殿や提灯、鳥居の額にいたるまで、様々なところに飾られており、境内は強力なパワーに満ちあふれている。
境内には、晴明が念力で湧かせ、病気平癒のご利益があるという水が湧き出る井戸「晴明井」がある。水の湧きでるところに注目すると、その歳の恵方を向いており吉祥の水が得られる。恵方は毎年変わり、立春の日にその向きを変える。豊臣秀吉が晴明神社の南方に聚楽第を建てた頃にはこの場所が千利休の屋敷だった。また、利休終焉の地でもあり、このあたりで自害したといわれている。
古くから魔よけの果実と言われている桃の像「厄除け桃」、聖なるパワーにあやかろうと木に触れていく参拝者も多数いるという、御神木である樹齢推定300年のクスノキなど、パワースポットが数多く集結している。晴明は天皇に仕えた公務員であるが、その呪術を駆使し魑魅魍魎狩りをも行っていた人物。
■「阿寺の七滝」愛知県南設楽郡鳳来町
鳳来町は1575年の長篠の合戦があった場所で愛知の行楽地である。ここに晴明伝説がある。ここに晴明屋敷は屋敷を構え、その裏手に井戸=晴明井戸を掘ったという伝説が残る。「阿寺の七滝」には安倍晴明が京都に出現した「もののけ」を妖狐と占い、退治する事になった。その余りに強い妖力に、ここ「阿寺の七滝」を訪れ修行の場としたのだという。豊嶋泰國著「安倍晴明読本」では、晴明が宿として使用した同地区丸山家では当主の頭文字は代々「晴」を用いているという伝説を書いている。
■岐阜県「喜八河戸(きはちこうど)」岐阜県揖斐郡藤橋村
喜八河戸は「寛弘2年の頃、当時は庶民の近寄り難い有名な陰陽師、安倍晴明が諸国巡遊の途中、当村の住人喜八の家に宿した折、湧き出る清水の効力を褒めて以来、いかに長い日照りが続いても涸れることがなく、夏冷冬暖で古くから村人たちに最適の生活用水として使われ、水道が引かれた今日でも、日常生活に欠かすことができない水として利用されている。また、この清水は単に生活用水にとどまらず「薬効のある水」としても知られており、この水は万病に効く不思議な水として、飲用している人も多くいる。岐阜県が昭和61年12月12日に認定した名水50ヶ所に選ばれている。また隣の池田町にも「晴明井戸」が存在する。
■「晴明の井」福岡県太宰府市朱雀
榎社から東へ歩いて2分の所に、平安時代中期の有名な陰陽師・安倍晴明が開いたと伝えられ、どんな日照りの時でも水が涸れないといわれている井戸がある。出産時にこの水を使うと安産であるという信仰がある。祠の中に三角形の板状の石が置かれている。これは水を守る神様を現している。なお、安倍晴明がこの地を訪れたという史料はない。





