■天下茶屋あられ/中じま製菓
天下茶屋は何度か行ったこともある町ですが、友人から「おかき屋」が多いところだと聞かされていました。その理由がおもしろくて、大阪でも雨が少ない場所だから・・・というのです。
何人かの大阪人に尋ねたりもしましたが、そんなことは聞いたことが無いというので、とても気にはなっていたのです。
先日、教え子から「おかき」が贈られてきました。なんと・・・私が気にしていた「天下茶屋」の「おかき」ではありませんか。
財団法人/大阪都市協会発行の『OSAKA-JIN-大阪人-』平成10年2月号にて紹介されました。
『天下茶屋あられ中島製菓』と書かれた店のガラス戸を開けると、店中に香ばしいおかきの香りが立ちこめていた。西成区は昔、手焼きのおかき屋が多く50~60軒ほどあったらしい。「この辺りの地下水の水質が良かったからだと言われています。私は西成区が大阪市内でも雨の少ない地域だからだとも思っています。おかきは、いったん天日で干しますからね。」中島満男さんは、今は4軒ほどになってしまった炭火焼の手焼きおかきにこだわり続けている。原料となる餅米は滋賀県の蒲生町でとれた近江米。籾の段階から予約して作ってもらっている。「蒲生町の土は、粘り気があって質がいいんですよ。遠くからきた米ですし、『よう遠くからきたなあ』と言いながら大切に作っています。」餅つきは1週間に一度。3升5合くらいを臼と杵でつく。それぞれの種類により、まめを入れたり、えび、ごま、青海苔を入れたりする。冷蔵庫で4日間冷却後、おかきの形に切って、それを1枚ずつ並べ、天日で乾かす。大きいものだと10日間くらいはかかる。「寝かせて、出して、干して、じんわり、太陽の加減を見ながら干します。実はこの作業が一番難しい。夏など、朝早くに外に出して、昼間は家の中に入れて寝かせます。そして、夕方にまた干します。この時間の加減は勘が頼りです。日に当たりすぎると、はじいて艶が出ないのでダメです。まめの入っているものなんて、まめの場所から割れてしまいます。一度夕立に遭って、豆が飛び出してしまったこともありますよ。季節によって違いますね。梅雨時は苦労します。」手作りでは、この天日干しにより不規則なひび割れが出来るが、機械で作ったものは一定になる。おかき作りはこのほか、焼き・醤油付け・海苔巻きなどたくさんの行程がある。干し加減が勘なら、焼き加減もまた同じである。焦がしたら売り物にならないので炭火の火加減とおかきを見比べながら焼く。1キロ以上ある取っ手付きのアルミにおかきを入れ、釜に入れたり出したりする。「重いし、釜の前は40度以上になるので夏は暑くてたまりませんよ。けれど、火の強い間に一気に焼いてしまわないとおいしく焼けないので、なかなか休憩もとれませんね。」そう答えるのは息子の英雄さん。この仕事を手伝って10年以上経つ。奥さんの敏子さんは以前は焼いていたそうだが、今は海苔付けや、袋づめ、販売を主に行っている。「毎月20日過ぎたら来月分の注文が来ます。お中元、お歳暮などに贈られる方もいらっしゃいますよ。近江米だけで焼きあげたおかきは、やっぱりひと味違うと言って買ってくださいます。『今日も遠いところより来ていただいたお客様に喜んでもらうのよ。』と、1つ1つの商品に話しかけているんですよ。」親子で作る手作りの味。満男さんの納得のいくできばえのものは1年に3~4回だけだとか。「難しい仕事やけど、それがまたおもしろい。」満男さんの頬が、おかきの様につやつやと輝いた。
友人から聞いたことは、本当だったのです。
ネットで調べましたら、HPもありました。もっと早く調べればよかったなあと思いますが、教え子からの素敵な贈り物に感謝です。ポリポリ・・・