新幹線
震災の起こった次の日の3月12日には、出発式の自粛などで静かに九州新幹線が全通しました。地震の影響で全くニュースにはなりませんでした。東北新幹線は仙台駅の駅舎一部崩壊など大きな被害を受けましたが、4月29日には全線で運転を再開。現在も臨時ダイヤでの運転ですが、震災から約1ヶ月半で全線運転再開。その東北へ向かう、東北・秋田新幹線の一部の車両に被災地へ向けたエールのマークが描かれています。
東京側の側面には「つなげよう、日本。」のマークが描かれています。
新青森側には「がんばろう日本!がんばろう東北!」のマークが描かれています。
東北新幹線の復旧を急ぐJR東日本は、採算の合わない太平洋岸の在来線を廃止するかもしれない。だが、在来線の復旧が日常の回復といかに結び付いているかを、三陸鉄道は静かに訴えているように思える。(明治学院大・原教授)
三陸のリアス式海岸沿いを走り、「さんてつ」の愛称で親しまれている第三セクターの「三陸鉄道」(盛岡市)が存続の危機に立たされている。東日本大震災で高架橋が崩落するなど、復旧費用は100億円かかるとの見方もある。会社単独の復旧は困難で、資金のめどがついても全面再開まで1年以上かかるという。三陸鉄道は県や沿線自治体などが出資して81年設立。北リアス線(久慈-宮古駅間71キロ)や南リアス線(釜石-盛駅間36キロ)を運行する。09年度は利用客約89万人。県などから1億円以上の経営損失補助金を受け、実質赤字状態だった。震災で、南リアス線は釜石市の唐丹(とうに)-吉浜駅間の高架橋が落下、釜石-平田駅間の大渡川鉄橋は橋脚にひびが入り、線路が寸断された。北リアス線も島越駅など駅舎が壊滅。同線は一部区間で運行を始めたが、南リアス線は損壊が大きく復旧のめどが立っていない。唐丹駅から月2回、釜石市内の病院に通う男性(85)は「電車がないと往復で数千円タクシー代がかかり、通院できない」。家族が同駅を利用する男性(52)は「復旧費が巨額なら廃線も仕方ないが、代替バスなど地域の足は残してほしい」と話す。現行の鉄道施設災害復旧費補助制度では、復旧工事費のうち国と地元自治体が各25%、鉄道事業者が50%を負担する。三セクは地元自治体が事業者分の負担も迫られるため、岩手県の担当者は「工事費に100億円かかるとの試算もある。国のさらなる支援なしに復旧は不可能」と頭を抱える。国土交通省の担当者も「今回の地震は通常の災害と異なり、被災自治体の負担は計り知れない。鉄道の復旧について国の補助率を拡大したり、違う枠組みによる支援も検討したい」と話している。
津波で線路が寸断された岩手県沿岸部を走る第三セクターの三陸鉄道(宮古市)は5月26日、車両基地がある久慈市の久慈駅から車両2両をトレーラーで宮古駅へ搬送した。宮古側の一部区間を1両で運転を再開していたが、朝夕の混雑が激しく、2両編成で運行できるようにするため。午前9時から重さ約32トンの車両をクレーンでつり上げ、待機していたトレーラーの荷台に積み込んだ。約100キロ離れた宮古駅付近へ搬送した後、1両は27日以降、線路に戻す。作業を見ていた久慈市の自営業久慈潔さん(76)は「生活に密着しているローカル線は大事だ。宮古の人が不便をしているから、これで助けになるだろう」と話した。