イグルー(1)
■イグルーはスノーハウス(snowhouse 「雪の家」)とも呼ばれ、カナダ北端のマッケンジー河口付近からラブラドル半島にかけての地域で使用される。イヌイットは普段、革製のテントに住み、魚や獣を求めての移動の多い生活を送っている。一年の内のほとんどを雪と氷に閉ざされたツンドラ地帯で生活するイヌイット達の、暮らしの知恵から生み出された住居形態が、イグルーである。雪や氷はふんだんにあるため、どこでも作ることができ、移動しながらの生活が容易に可能となる。また、積雪期における登山の際には、傾斜の少ない堅雪地でテントの代わりにも使用される。風に強いのがイグルーの優れた特徴ではあるが、反面、湿度が高く長期居住には適さない。そのため、圧雪ブロックのイグルーでの居住は一時的なものとなる。そしてまた、放棄されたイグルーをのちに通りかかった別人が流用するというケースも通常的にある。雪や氷をブロックのように切り出して、ドーム状に積み上げて造られる。この形は力学的に非常に安定しており、表面積を最も小さくできる半球形なので、外の厳しい気候の影響を受けにくくなる。主屋の内部は、毛皮そのものと毛皮と雪の壁の間の空気によって断熱性と保温性を高めるためにアザラシの毛皮を内張りすることもあります。採光のために薄い板状の氷やアザラシの腸の半透明の膜でつくられた窓が入り口の上部に設けられ、窓の上には換気用の小窓がつくられます。こうしてつくられるイグルーの内部は、アザラシの脂肪を燃料とするオイルランプひとつで十分に暖かく、ドーム型なので温められて上に昇った空気は壁に沿って下に下がり、効率よく暖房できる。
■ドイツ・ハンブルクにお目見えした322台の冷蔵庫による芸術作品。ベルリン在住のアーティストのラルフさんが、古くなった冷蔵庫を集めまくって作り上げた。入口横には巨大な電気のメーターが設置されていて、これだけの冷蔵庫を一気に使うと一体どれほどの電気が消費されるのかを一目でチェックできるようになっています。内部には、電気を食う多種多様な家電製品を置きまくり、いかに現代人のライフスタイルが電気の無駄遣いという問題を招きやすいかを訴えた。
■カナダの Alexis O'Hara 氏によるインスタレーション“Squeeeeque - The Improbable Igloo”。スピーカーを「イグルー」のように積み上げて、中に入って音を出したりできる代物。
■真弓鑵子塚古墳
真弓鑵子塚古墳は舌状に伸びる丘陵の先端に築かれた直径約23m、高さ約5mの円墳です。埋葬施設は花崗岩の巨石を使用した横穴式石室で全長10m以上を測ります。真弓鑵子塚古墳は昭和37年に末永雅雄氏を中心とした後期古墳研究会によって石室内を埋め尽くしていた土砂が搬出され、実測調査などが行われました。調査の結果、石室規模は玄室長6.33m、幅4.23m、高さ4.8mで北側の羨道は幅1.92m、高さ2.35m、長さ3.9m、南側の羨道は幅2.26m、高さ2.28m、長さは現長で約5mあることが明らかとなりました。石室の平面プランは石室の東壁が直線的に伸び、西側に約2m分張り出しており、各羨道に対して片袖式の構造となっています。石室の壁面構成は巨石を7段積み上げて、3段目以降は急激な持ち送り(穹窿式)となっており、天井部分は3石、架構されています。石室の両側に付属する羨道については北側部分が羨道か奥室的構造なのか意見の分かれるところですが北側の入口部分にはかつて割石を小口積みにした閉塞石が遺存していたことが報告されており、羨道の役割を果していたと考えられます。
石室内からは金銅製装飾金具や金銅装馬具(尾錠)、須恵器や凝灰岩片も多数出土していることから石棺が安置されていたと考えられます。築造年代については石室構造や出土遺物などから6世紀後半頃と推定されます。真弓鑵子塚古墳についてはこれまで本格的な発掘調査が行われておらず不明な点も多いのですが貝吹山の南側斜面に位置し、近在には乾城古墳や与楽鑵子塚古墳など穹窿式で巨石を用いた古墳が点在しています。
またこの地域にある与楽古墳群からはミニチュア炊飯具や簪子など渡来系要素をもつ遺物が出土していることからこの地域の古墳は渡来系氏族東漢氏の墓域ではないかと考えられています。東漢氏については檜隈寺を中心に活躍した渡来系の技術者集団で飛鳥文化の担い手として蘇我氏と共に活躍しました。