スタードーム(95)
●砥用町林業センター/西沢大良
熊本県の林業の町の小さな集会場(延520m2)。地元の木材を用いること、および町のシンボルとなる建物をつくること、を求められた。敷地は山の中に造成された丘の上にあり、周囲に運動公園がある。建物はほぼ平屋で、町民の集まりや軽スポーツのための集会室があり、ミニバレーボールのコート2面分の広さがある。そのスペースをすっぽりと覆うように木の不定形な架構を組み、全体をガラスの直方体のなかに納めている。屋外から見ると、山の中腹に大きなブッシュ(茂み)が人工的につくられたように見える。構造は木とスチールの混構造。外壁沿いに軽量鉄骨の柱(60mm×60mm)を1mピッチに並べ、屋内側の格子状の杉材(120mm×210mm)へ力を逃がしている。屋根においても軽量鉄骨を2mグリッドに並べ、その下層に格子状の杉材を45度振って並べて、両者を結んでトラスをつくり、22mスパンを架構した。トラスの上弦材と下弦材を45度振ることで、天井高の必要な箇所のトラスせいを押さえ、その力をトラスせいの大きい他のトラスへ逃し、直下のスペースの必要にあわせた形状としている。またこの建物にはコンクリートを一切使用せず、木とスチールだけで建物をつくり、建材としての木の重要度をアピールしている。
●駿府教会/西沢大良
■金田充弘
1994年カリフォルニア州立大学バークレー校環境デザイン学部建築学科卒業。1996年 同大学工学部土木環境工学科修士課程修了。同年よりARUP Japan東京事務所勤務。2002年第12回松井源吾賞受賞。主な担当プロジェクトに、メゾンエルメス(RPBW)、富弘美術館(aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所)、砥用町林業センター(西沢大良建築設計事務所)などがある。2005年よりArupロンドン本社勤務を経て2009年よりArup東京事務所勤務。金田さんは東京藝術大学の准教授です。
学生と一緒にいろいろ構造的にもおもしろく新しい事に挑戦している。柔らかい構造体で建築ができるか?という可能性を試したしたインスタレーション。空気や液体を構造にできないか?というのを試す、インスタレーション。やわらかい布状の構造をつかうことで、振動などを吸収するという発想や、風船により浮いた構造は、視点を動かしてみると、空気によって構築物が支えられているとも考えられるといった視点。こういう柔軟な発想をしている人だと感じた。また、金田さんはArupで働いていて、コンピュータを使い複雑な構造計算をした有機的な形態の建築を建てている。
●メゾンエルメス(RPBW)
2001年6月28日には、日本での旗艦店「メゾンエルメス」(Maison Hermès) を東京・銀座の晴海通り沿いにオープンしている。外壁に 450 mm 角のガラスブロック 13,000 枚を張りめぐらした11階建てのビルで、レンゾ・ピアノの設計による。ブティックのほか、製品の修理工房、ギャラリー、パリ以外では初となるエルメス社常設ミュージアム、そしてエルメスジャポンの本社が入居する。
●カリフォルニア科学アカデミー(California Academy of Sciences)
アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコのゴールデンゲートパーク内にある世界最大の自然史博物館。 1853年にアメリカ西部初の科学機関として創立。自然博物館、水族館、プラネタリウム、亜熱帯温室や研究所がひとつの建物に集められている。 2008年には大規模なリノベーションが行われ、同年9月28日に再オープン。設計を手がけたのはイタリアの代表的な建築家レンゾ・ピアノ。