さくっ(46) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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造形楽語の会(5)


■「つつむ」という言葉そのものは、「苞(つと)」と同じ語源を持つと言われています。「苞」とは「藁苞(わらづと)」にもあるように、藁などを束ねて「大切なものをくるむ」という意味で、このことから、「包む」には、やさしさ、慈しみ、大切に守る、保護する、気配り、思いやりなどの意味が込められています。


■「つつむ」は始め「勹」でしたが、文字が複雑化するにつれ次第に単独では使われなくなり、「己」を加えた「包」が「つつむ」の意味を引き継いだものと思われます。


■「己」 解字:象形。糸の先端の曲がりくねっている形にかたどる。長い糸の先端の意、かりて「おのれ」の意味に用いる。


■「已」 解字:象形。誇大の工作用の木の鋤の曲がった形にかたどる。すきの意。のち已(やめる)などに変化した。

いろいろな説がありますので、さらに詳しく調べてみました。


◆すくらんぶるアートヴィレッジ◆(略称:SAV)    若い芸術家たちの作業場・みんなの芸術村-つつむ1

どうやら「包」の中は、もともと「己」ではなく「巳」のようです。

■巳 胎児を象る。「包」、「胞」、「抱」の中にその原義が見られる。十二支の6番目に当てられ、それに「蛇」を当てたもの。十二支以外の用法はほとんど失われたようです。


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象形文字としては、このような感じではなかったかと思われます。


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ちょっと脱線しますが、北京五輪の時の各種目のシンボル・マークは素敵でしたね。中でも乗馬のマークが気に入っています。

■「篆書の美」と名づけられたデザイン

北京オリンピック諸競技のシンボルマークは、篆書の字形を基本とし、甲骨文、金文などの字形の趣とモダンな図案の簡潔さをも融合させたもので、識別しやすく、覚えやすく、使いやすいなどの要求を満たしています。黒い図案と白い背景が、鮮明なコントラストを成し、スポーツの鮮明な特徴、優雅な美及び豊かな文化の意味をあらわにしており、「形」と「意」の完璧な調和と統一が表現されています。


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中国と言えば・・・「包む」食べ物が多くあります。


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パオ(包)というテント式の建物もあります。


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日本においては「瓦屋根」ですが、広義での「包む」と考えてもよさそうです。


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日本の「包む」で忘れてならないのが・・・「竹皮」です。


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象形文字を調べていて・・・やっぱり、トンパ文字も紹介しておかなくてはと思います。

■トンパ文字

ナシ族の中でもごく少数の「トンバ」と呼ばれる司祭によってのみ受け継がれている文字である。中国語での音訳は「東巴(Dongba)」。日本では、「トンパ」という言い方が広まっているが、本来は「トンバ」と発音する方が原語に近い。トンバ同士の間で代々継承されてきたため、社会全体での標準化がなされておらず、異体字も多い。また、口語をそのまま書き記すものではなく、内容も宗教や伝承に関するものが多いため、真の意味で理解するのはとても難しいとされる。主に毛筆で書かれる。世界の文字の中でも唯一色によって意味を変えうる文字であり、黄色はお金(金持ち)、黒は悪などの意味合いを既存の文字に色をつけて字の意味を広げていく。絵文字に近い独特の象形文字で、単字の構造は古代中国の甲骨文字に類似する点もあるが、文字に込められた民族的な意味合いなどは同じ意味の文字でも異なる場合が多い。例えば「天」を表す文字の場合、甲骨文字の天は下界とは切り離されたものであり、いかなる感情も持たないとされている。しかしトンパ文字の天は、優しく力強く世界を覆うといった意味を持っている。ちなみに、トンパ文字の「女」は同時に「大きい」という意味を持ち、「男」は同時に「小さい」という意味を持つ。これはナシ族文化が伝統的に母系社会であることに由来する。


生きている象形文字であることも驚きですが、色によって意味が変化する唯一の文字であるということからも、造形表現として注目すべき文字です。