暮れ染め
渋染について調べていると・・・「暮れ染め」という素敵な名前に出会いました。画像の左側が一般的な柿渋染ですが、右側が「暮れ染め」です。
運動靴にも「暮れ染め」が施されたものがありました。
■暮れ染め
柿渋で下地染めしたものをクレと呼ばれる鉄分を有する水で処理する事により黒く変化(鉄媒染)させたものです。工業薬品の無かった時代はこうすることで、色をはげにくくし、生地を強くするために使われていました。日本古来よりある宗派の僧侶の麻製の黒衣が渋で染められていたり、奄美の大島紬も材料は異なりますが、柿渋と同じ成分で染められているなど暮れ染は古い時代より受け継がれてきました。
◎山伏の法衣には、白・黒の他に柿渋で染められた柿衣があり、柿衣は宗教的に山中の瘴気(ショウキ)をさける力があるとされていた。
◎柿渋染は、『本来、山伏のように自分達と異なる世界に生きる人々の着る衣の色であった。』しかし、中世で百姓一揆の時には柿衣が定着したり、武士では柿色を禁止し、差別の色とした時代もあった。
◎滋賀県の草木染めの文献には「琵琶湖周辺の全ての平野において、水田稲作による弥生式文化を源にして農耕文化、 湖上交通が発達した地帯」を『鄙染帯(ヒナゾメタイ)』とし、赤や赤茶染めの『醸造染め』が特徴で(1)ソヨゴ(2)柿渋(3)アカネで染めた。
◎滋賀県の甲賀地方では、『クレ染め』があり「野良着は、柿渋で下地染めしたものをクレ(鉄分を有する水)に浸けることで色がはげにくく、 強靭なものとなる」と伝えられている。
◎京都では、昔は禅宗の僧侶の麻製の黒衣は柿渋で染められていた。
◎長野県では『渋よっこぎ』と呼ばれる山袴があった。「木綿の白生地を柿渋で何度も染め、水はけがよく、濡れても水の切れがよく、激しく山野を駆け巡り渓流で魚を追う生活に好適であった。」と伝えられている。
「クレ」と呼ばれる鉄分を含んだ水?
いろいろ調べてみたがわからない。
そこで「鉄媒染」で調べてみた。
■鉄(木搾酸鉄・二硫化参鉄)
柿渋は鉄に反応して黒く変化します。その性質を利用して色の変化が楽しめます。柿渋染の濃度と媒染剤の濃度によって、灰色からダークブラウン・黒色までを表現できます。
「木搾酸鉄・二硫化参鉄」?
いろいろ調べてみたがわからない。
そこで、さらに「鉄媒染」を調べてみた。
■鉄媒染液の作り方
鉄たまご または鉄クギ1kgを湯通しして、外に出して十分にサビさせます。サビた鉄をお酢または木酢液500ccにつけて室温で1週間ほど放置しておけばできあがり。クギは繰り返し使えます。
どうやら、これが「木搾酸鉄」に近いのではと思われる。
とにかく、なんでもやってみる。錆びた釘をかき集め、木酢液がないので・・・以前、樫炭を購入した窯元からいただいた竹酢液でやってみる。
そして、容器に入れて・・・とにかく1週間待つことにする。