渋染(3)
Tシャツ2回目の浸染です。
少しは濃くなったような気がします。乾燥した様子を見て、3回目の浸染をするかどうか決めたいと思います。
浸染に使用した薄めた柿渋で、布の方に刷毛染しました。
柿渋の濃淡がとても素敵です。
張木に布をとめてあるので、本当に作業が楽です。
古くから人々が大切に伝えてきた藍そして柿渋は、温もりと豊かな知恵を感じさせます。柿渋染めは『太陽の気まぐれ』染料と呼ばれているくらい、発色の安定が難しい染料です。また、染色後の環境(太陽光など)でも色合いが変化します。人が年をとるように、年を重ねて変化していく染料です。天然染料・エコ染料としても柿渋染が注目されています。まったく臭いのない柿渋もあり、どこでも・だれでも・簡単に柿渋染が楽しめます。柿渋の染色方法には、刷毛で塗る方法、浸し染、染料として使用する方法がありますが、柿渋染は基本的には温度を上げる必用がありませんので、エネルギーを使用することなく、二酸化炭素を発生させませんので、柿渋は地球環境に優しい染料です。
柿渋は、青い渋柿を潰して、絞った液を約2年間発酵させたものです。本来柿渋は染料としてよりも、塗料に近い使われ方をしてきました。私たちの住む日本は豊かな自然に恵まれており、国土を海に囲まれていることからも、年間を通して湿度が高いという特徴があります。そのため日本の生活では、湿気は大きな問題で特別の配慮が必要となりました。
私たちの先人は、柿の果汁が空気に触れると硬化して被膜をつくることを知り、身のまわりの道具に塗ると防水効果があり、カビを生えにくくなり、固い被膜によって耐久性が増すことを発見しました。同じような効果を持つ漆は採取される樹液の量が少なく高価な材料であり、皮膚がかぶれることもあり、加工には高度な技術が必要です。一方、柿渋は近くの野山で柿を採ってつくることができ、その扱いも塗ったり浸したりと簡単であったため、広く庶民に使われていました。家屋の柱、魚網、和傘、酒袋、一貫張りの籠などがその代表例で、現在でも染色用の型紙に使われています。数十年前、プラスチック製品が普及する前までは、柿渋液は各家庭でつくり、縁の下などに保存して必要な時に使う身近なものでした。
タンニンを一番多く含む、色付く前(8月末~9月頭)の渋柿を使います。皮ごと6~8等分に切って一晩水に浸しておきます。翌日、水と一緒にミキサーにかけ、絞って果汁をつくります。ペットボトルなど口の小さい容器に入れて、最低一年ねかし発酵させて、完成。発酵は冷蔵庫がベストですが、冷暗所に凍結を避けて保存します。液面の被膜は下の柿渋液を保護してくれるので、条件が良ければ3年は保存ができます。柿渋で染められた色は、タンニンが空気中の酸素によって酸化し、乾燥によって被膜化した色です。空気に触れた瞬間から酸化が始まり、酸化の進行に伴って色が濃く変化してゆきます。条件によっては2年くらいかけて徐々に進行してゆくため、色を特定して染めることが困難になります。