SAVナリエその後(5)
負の世界遺産「原爆ドーム」の造形性は、どのような芸術彫刻でもその比ではない。ドーム横を流れる元安川からは、今も被爆瓦が採取される。
瓦は「河原」でもあり、そこに生死の境界がある。屋根の瓦は、天空と地上の境でもある。その屋根の下敷きとなり、生死をわけた人々も多かった。
阪神淡路大震災があって以降5年間、私はあえて神戸に行くことはなかった。
そんな気持ちを紛らわせるように、かろうじて淡路島・北淡町を訪れた。
食器が崩れ落ち、その破片は飛び散り瓦礫となる。
メリケン波止場、その美しくロマンあふれる町にあこがれた青春・・・
もう二度ともどないからこそ大切にしまっておきたかったのに・・・この姿はどうしたことだ。震災から5年後、ある機会と巡り合い、被災された方々と神戸を歩いた。震災で息子さんをなくされたという・・・町のあちらこちらに残るモニュメントを訪ねながら話に耳傾ける。何がつらいかと問えば、ただ、「忘れられること」・・・だと言う。
だから
わたしは
わすれない。
そして、
つたえる
ことを
こころに
ちかう。
まもなく・・・2009。