どきっ(255) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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河津KAWAZU


かわず1


能面とは、能楽に用いる仮面である。河津(かわず)は、蛙や川津、河途、加和津とも書き、亡霊として執念などを表現する際にしようされる面である。男の憔悴さに、更に哀れさを加えた相で、伏し目がちな小さな眼は離れ、二つの眉はつながってひさしのように眼を覆っている。頬がこけ上瞼が下瞼よりもかなり突き出ており、眼は下を向き、水から上がった時の濡れた髪の感じが更に哀れさを強調している。男の幽霊面「痩男」の系列の面であり、この面の特徴としては痩男より怨霊的な要素が強く、水死した亡霊を表現するのに使われることが多い面でもある。河津は、「阿漕」「藤戸」などに使われる面である。


かわず2

生前、動物を殺生する仕事をして生活を立てていたことで、地獄に堕ち、罪深いことをしたと冥土をさまよう幽霊の男面に痩男がありますが、その奇形面で、頬がこけ、焦点が合わないうつろな目をしています。髪の毛も水に濡れて乱れ髪になっており、これらが弱さと哀れさを強調して、いっそう悲哀さや悲惨さが増しています。


かわず3

ある説に「海を離れぬを海士と云う。川を去らぬを以ってかわずと云う」とあり。また「藤戸の面なる故、三途川の川途(かわず)と也。又、がまと云う仙人をうつすと云へり」との説あり。額の毛描きの描写は、水から上がったときの濡れ毛の乱れを表現している。


かわず4

変わり型がいくつかありますが、いずれも、眼には金具、歯には金泥を施しています。超自然的な存在を現す際に、このような彩色方法をとります。(泥眼、生成等も同様)毛先を踊らせた毛描きは、水から上がった際の様子を現します。


かわず5

男の幽霊面「痩男」の系列の面です。痩男系はいかにも地獄の苛責に苦しんでいる死人の容貌です。この面の特徴としては「痩男」より怨霊的な要素が強いということになるようです。造りも目の間隔が広く、髪は水を浴びたように描かれます。眉、口ひげの表現にも特色があります。能「藤戸」などに使われ、同種の面に「二十余(はたちあまり)」があります。


かわず6

狂言のような舞台では、このような滑稽な蛙面も用いられています。


かわず7