和紙魚(3)
■奉書焼
奉書とは朝廷や幕府の命を書いた紙のことで、奉書に用いた丈夫な和紙のことを奉書紙という。奉書焼は、スズキや甘鯛など白身の魚を水でぬらした奉書紙で包み、天火などで蒸し焼きにしたもの。ユズを加えた醤油などで食する。江戸時代に考案されたもので、現在でも料亭などで見られる。
『奉書焼き』の由来? 江戸の昔、浜で漁師が焚き火で魚を焼いておった。通りかった殿様の『もらえんかの』とのお言葉に、灰が付いては無礼になると貴重な奉書(高級和紙)に魚を包んで焼きあげ、差し上げた。丈夫な奉書(高級和紙)に包んだことによって素材の旨味を閉じ込め、より一層美味になった。という話である。
■紙鍋
紙で作られた鍋。耐水・耐火性のある目のつんだ丈夫な和紙で作られ、煮炊きに用いられる。江戸時代に誕生し、現代でも見た目の美しさや趣向の面白さから、日本料理店などで湯豆腐や寄せ鍋に使われている。水(だし汁)が紙の中にあれば、紙の温度は100℃を超えることはなく、紙のセルロースは分解しないので鍋として使うことができるそうです。
■紙蓋
煮物料理で中蓋代わりに材料の上に紙をのせ、空気を遮断することによって味の含みを良くする調理法。材料の中まで味がしみ、形をくずさない効果がある。水分や高温によっても破けない和紙の強さが重宝される。
■紙をつかった料理のなかで中国料理には、鶏肉やホタテ貝をセロファンやパラフィン紙に包んで低温の油で揚げる料理で紙包鶏、紙包鮮貝と呼ばれるものもあり、フランスにはバターを塗った紙に仔牛の肉などを包んで焼くパピヨット、イタリアにもカルトッチョとよばれる包み焼など世界各地で紙は「食」を楽しませてくれ、また「食」の世界を広げてくれています。
これは、豚肉の奉書焼です。