タナゴ(2)
■タナゴ類は、コイ目の魚で二枚貝の中に産卵する習性をもっています。雌は産卵管を長くのばして出水管に差し込み、貝の外套腔内に卵を産みつけます。雄はそれと同時に入水管近くで放精し、卵を受精させます。タナゴ類は世界に約40種、日本に約15種います。天然記念物にはイタセンパラとミヤコタナゴの2種が指定されています。ミヤコタナゴは体長3-4cmの比較的小型の種です。寿命は通常1-2年と短いです。マツカサガイなどに産卵します。生息地は栃木県、埼玉県、干葉県および神奈川県の丘陵地や扇状地周辺の湧水を基礎にした稲作地帯で、この環境は1950年代まではどこにでもありました。ミヤコタナゴが繁栄していた環境は人と自然とのかかわりによって生まれた自然である点は特筆すべき事柄です。生息数の減少の原因には河川工事、密漁、ブラックバスなど害敵の侵入、移入種タイリクバラタナゴとの競合などがあげられます。
■ミヤコタナゴ
■タイリクバラタナゴ/コイ科Rhodeus ocellatus ocellatus 特徴は、腹ビレの縁が白い、口ひげが無い、体高がタナゴの仲間でもとりわけ高い、体側後半に一本タテジマがある、側線が途中で切れる。
名前の通りユーラシア大陸原産のタナゴで、ハクレンに混じって中国から渡ってきた外来魚。そのため、日本原産のニッポンバラタナゴとの配合が進んで、ニッポンバラタナゴの純粋種が激減し、今では、大阪府の一部と九州北部に生息するのみとなってしまったタナゴです。ブラックバス等の外来魚の違法放流は、全国規模で行われており、日本の貴重な固有種が、日々姿を消しています。
■ニッポンバラタナゴ
■ハクレン/コイ科Hypophthalmichthys molitrix
中国大陸が原産地。
ハクレンは、コイ目・コイ科・アブラミス亜科に分類される中国原産の淡水魚。いわゆるレンギョの一種で、古くから中国で養蚕とリンクした養殖システムで食用とされてきた中国四大家魚のひとつでもある。
日本には明治時代頃から持ち込まれ始め、現在では本州、九州に分布する帰化動物。ただし、確実な自然繁殖が確認されているのは利根川、霞ヶ浦水系のみである。1943年の放流により、霞ヶ浦と利根川水系に定着、自然繁殖を行うようになった。5歳以上になると、湖から利根川を遡上。6~7月の大雨のあと、埼玉県羽生市付近で10数尾が一群になって産卵する。主に浮遊植物を食し、アオコ(ミクロキスティス)も食べるので、湖沼の富栄養化対策に役立つといわれた時期もある。世界的にはユーラシア大陸東部の他にも、アメリカのミシシッピ川水系などに定着している。白波を立てて飛び跳ねる、産卵期の豪快な集団大跳躍がよく知られる。
■中国四大家魚
ソウギョ、ハクレン、コクレン、アオウオ、中国の「四大家魚」と称される。
■コクレン
■アオウオ
■ソウギョ