ぎょ(639) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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お魚遍路(9)


かむろ8


「学文路苅萱堂」にある「人魚」は滋賀県の蒲生川で獲られたものであるということなので、少し脱線しますが滋賀県を調べてみることにしました。


がもう1


■国内最古の「人魚」出現記録が残る蒲生町寺村「小姓が淵」

同町の人魚出現記録は、今から約千三百八十年前にさかのぼる。日本書紀の推古二十七年(六一九年)夏四月条に「蒲生河に物有り。その形人の如し」と、今の佐久良川小姓が淵付近(同町寺村)に現われたと記されている。地元では昔から、やんちゃな子どもたちに対して「小姓が淵のそばで遊ぶと、人魚にさらわれる」と、深みにはまると助からない小姓が淵に近寄らないよう、なかば戒めの意味で言い伝えられてきたという。これに由来する寺村に残る話によると、昔々、村にあった願成寺(同町川合)末庵の尼僧に仕える小姓がいた。小姓の素性が分からないことを不思議に思った寺武士は、ある日こっそり後をつけ、佐久良川に姿を消すのを見てびっくり。驚いた武士は村人とともに投網で捕えてミイラにしてしまい、豪商に手渡してしまったという。この後、故郷に帰りたいと人魚がしきりに泣くため、願成寺で手厚く供養されるようになった。


がもう2


■ある年大干魃で村人は困り果てていたが、近江国蒲生河、現在の蒲生町佐久良川の『小姓が淵』に、清水が満々となっているのを不思議に思った村の若者が、夜な夜こっそり小姓が淵に行くと、三兄妹の小姓が、尾を利して清水を汲み上げる光景に出会った。人か魚か見分けがつかないその姿に不思議なものがいるとの噂が立った。その哀愁秘話が『人魚伝説』の由来となって定着したものと考えられる。今日、読経の聞こえる観世音菩薩の慈悲心に包まれて人魚は蒲生町川合願成禅寺末庵に静かに眠っている。


がもう3


■願成寺の人魚伝説
昔、願成寺の末庵に目を見はる程の美しい尼僧がいて、願成寺へ毎日お手伝いに通っていました。いつ程か可愛らしい小姓がやってきて、尼僧のお供をするようになりました。初めは微笑ましく思っていた村人もだんだんと羨ましくなり、ある日こっそり後をつけると佐久良川へすっと消えていったので、あわてて投網をなげて捕まえてみれば、小姓はなんと人魚でありました。動物の身でありながら尼僧を困らせたと哀れにもミイラにされてしまい、その後見せ物になって伝わっていったそうですが、気の毒に思った人達の手により、今は亡き尼僧の眠る願成寺へ帰ってきました。朝に夕に読経の聞こえる観音堂で、観世音菩薩の慈悲に包まれ、今は尼僧と共に静かに眠っています。


がもう4

■近江国蒲生寺村小姓ヶ淵人魚の由来より

今から千四百有余年前、近江国蒲生寺村の観音草堂にそれはそれは美しい尼層様が住んでおられ尼僧様に三兄妹の小姓が寺村の小姓ヶ淵に住みながら仕えておったそうです。ある年いつもの年とは違い、日照りが続きどの田も地割れができ、稲は立ち枯れ、他の作物にも影響がでて大干ばつになりました。村人たちは困り果て寺村の側を流れる佐久良川(当時近江国蒲生河)の小姓ヶ淵より「はねぎ」を利用して水をかいだし田畑を潤すことにしましたが、それもすぐに底をつき困りはてていたある日、小姓ヶ淵に行ってみると冷たい清水で小姓ヶ淵が満杯になっていました。喜んだ村人たちはその水に、手を合わせ拝みながら田畑に水を入れるのですがすぐに空になります。水がなくなって村人達が困るとまた水が淵に溜まる。この事が繰り返し行われるようになりました。不思議に思った村の若者が、夜こっそりと淵に行ってみるとそこには観音堂に仕えていた三兄妹の小姓が、その姿は人間ではなく『人か魚か』見分けがつかない姿で、奥より水を入り口の淵へ尾を利用して水を跳ね出している光景を目の当たりにしました。若者は今見たふしぎな様を誰にも話さずにいたのですが、やがて村人達の間に、小姓ヶ淵に「不思議な物がいる」という噂が立ちました。その噂は村から村へ広がり話を聞いた心ならず者が、夜中にその淵に行き、投網により一物を捕まえてしまいました。それはなんと人魚だったのです。以来、不思議な物として豪商らにより人から人へ渡り歩きましたが、あるお方が観ずるところがあって、この奇物をいたずらに俗家に秘しても、益なしと、川合願成寺に納められ、この人魚は立派なお厨子に安置され、観世音の御加護をうけ安らかに眠っています。後の一体は、蒲生河をさかのぼり小野村までのぼりましたが、ついに捕獲され死んでしまいました。村人は人魚塚を造り手厚く葬ったと言われております。また、残りの一体はたまたま近江国蒲生野へお布教をされておりました弘法大師さまのお供をし、高野山魔萱堂仁徳寺観音堂へあがったと言うことです。


かむろ9

ということなので、整合性はあるようです。


かむろ10

■滋賀県蒲生郡蒲生町は、琵琶湖東部にひらけた湖東平野の南端にあり、鈴鹿山系を源とする日野川とその支流佐久良川の流域にあります。古く神代より蒲生稲置の居住の地として開拓され、その祖神を祭る古社が現存しています。石塔寺には、日本最古最大の阿育(あしょか)王塔があります。2006年1月1日に東近江市に編入されました。


かむろ11