南天の魚(2)
「南天苑」という名前は・・・この地域が南天の里だからです。
■天見郷の実南天
河内長野市の特産物が南天(ナンテン)です。南天は中国の原産で、日本では関東以西の表土の深い林地に自生するメギ科常緑低木で、本市では、天見・流谷地区を中心に家々の回りや石垣、畑等でたくさん栽培されております。花の時期は6月から7月で、12月頃になると真っ赤な実をつけ、正月用切花として、又、薬用としても用いられています。
■ナンテン Nandina domestica(メギ科ナンテン属)
ナンテンは石灰岩地帯に多い常緑の低木。「難を転ずる」との語呂合わせからか、鬼門の方角などに植栽されることも多く、里山などにも野化したものが生育している。6月頃に花を咲かせるが、その頃は梅雨入りのシーズンでもある。開花しているときに長雨があると花粉が破壊されてしまい、果実の稔りが悪くなる。軒下に植えると毎年果実を楽しむことができる。
幹は直立し、根本から叢生する。あまり太くならず、枝分かれしない。結構強いので杖に利用されたりする。ナンテンの葉には防腐効果がある。魚料理に添えられたり、赤飯に乗せたりするのも、この防腐効果によるものであろう。
ナンテンの実にはアルカロイドのドメスチンやナンテニン、プロトピンなどが含まれていて、古くから咳止めの薬として利用されてきた歴史があります。漢方でも、冬にかけて採取した果実を天日乾燥させたものを「南天実(なんてんじつ)」と呼んで、風邪、ゼンソク、百日咳などの咳止めやのどの痛みに、1日量5~10gを500ccの水で煎じ、3回に分けて服用する療法があります。なお、ナンテンの実には紅い実と白い実とがあり、白い実のほうが効果が高いとする巷説がありますが、これは、白い実のほうが少ないことによるただの風説に過ぎず、実際の効果は赤も白も変わりはありません。
一方、ナンテンの葉にはナンジニンやナンテノサイドなどが含まれていて、解毒や防腐の作用があり、魚などを煮るときに、ナンテンの生葉を加えてやると傷みにくいという効果があります。
また、祝い事の折、ナンテンの葉を添えて赤飯を配るのも、「これを食べて中毒する心配は無用です」という意味と、「万一お腹をこわしたら、このナンテンの葉を噛んで治してください」という意味が込められているようです。南天の葉にはナンジニンという成分が含まれていて、これは熱い赤飯の上で水分と反応し、ごく微量のシアン水素に変わります。シアンといってもヒトにはまったく危険のない量ですが、解毒作用はいくらかはあります。
ちなみに、ナンテンの葉の青汁には、猪口1杯分を服用すると吐き気を鎮め、2杯飲むと食べたものを嘔吐する作用がありますから、食中毒の応急処置として覚えておくと役に立ちます。