春はサクラ(1)
■「サクラダイ(桜鯛)」
マダイ、クロダイ、レンコダイ、チダイ、イシダイなど国内で10種類近くとれるタイのなかでも、味、姿、色の三拍子そろった魚の王様、マダイは、養殖ものや輸入ものが年間を通して出回っているが、冬場から春先が脂がのって最もおいしい旬の時期。特に春先のタイは桜鯛と呼ばれ、高級魚として人気がある。「桜鯛」とは春の鯛のこと。「花見鯛」とも呼ばれ極上品とされています。この時期の鯛は、ちょうど満開の桜の花のように、その体をきれいな桜色に染めることから「桜鯛」と呼ばれるようになりました。そもそも桜鯛、大阪では魚島と言い、太平洋から鳴門をこえて瀬戸内海へ入ってくる鯛の群れ、深場になれた魚が浅い小底に当たって浮き上がる、海面近く姿を見せて進んでくる魚群が、さながら島のように見えるところから、呼ばれたそうです。鳴門・明石・紀淡海峡などを通って乗込むところから「乗込鯛」ともいう。
3月から6月ころにかけての、産卵を控えた鯛です。桜鯛は見た目の美しさだけではありません。実はこの桜鯛と呼ばれる時期が、鯛の最も美味しい時期と言われているのです。産卵を控えた桜鯛は、体の中に栄養をたっぷりと溜め込んでいるから。そんな桜鯛の身はぎゅっと引き締まった中に旨味が濃縮されています。桜鯛漁は4月中旬くらいに本格化します。網は深さ45メートルから上げます。最初は機械で一気に巻き上げておいて、最後は人の力で網を上げます。本当に色鮮やかなピンク色です。獲れたすぐの桜鯛にはしないといけないことがあります。鯛のお腹にストローみたいな筒をさして空気を抜くことです。「水圧が変わってお腹に空気が溜まって鯛が死んでしまう」のです。浮き袋の空気を抜かないと内蔵を圧迫して5分くらいで死んでしまうそうです。