ぎょ(310) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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魚影(2)


ふかほり1


■深堀隆介

1973愛知県生まれ 1995愛知県立芸術大学メディアデザイン科卒業 1999退職後、制作活動を始める。


ふかほり2


金魚を人生のテーマとしてアート制作している深堀です。普段何気なく見ている金魚を一度じっと観察してみてください。きっといろんな発見があるはずです。赤や白や黒の金魚は実は同じ種類のフナから改良されました。だから彼等は、可愛い顔して野生のフナと同じ気性が荒かったりします。僕は、そんな影を持っている「金魚」という存在が大好きです。僕にとって女性なのかもしれません。(女心はつかめない、そんなところが・・)


ふかほり3


緋鮒の掛け合わせによって生まれたのが金魚です。現在いる全ての金魚には、作出者がいます。金魚はいわば、誰かの作品なのです。先人の作出者たちは、各々の美意識によって、その奇形の中から「可愛い」と思うものを選び出し、それが固定された品種となるよう、何度も掛け合わせて自分だけの金魚を作り出しました。しかし、なかなか繁殖力があるものや、形の安定したものは生まれず、相当難しかったようです。現在でも、新しい品種の金魚を作ろうと多くの人々が挑戦しています。私は、1匹の金魚の中にいろんな人々の執念や思いを感じます。「作出する」ということに着目し、自分の美意識によって架空の金魚を絵画で作出することを試みたいと思います。あくまでもやり過ぎず、実際にいても不思議ではないような金魚を目指しました。


ふかほり5

金魚は体に大自然を持っている。改良の手が加えられたその体は、大自然から最も遠い存在でありながら、時折、野性を見せる。大自然を泳いでいた頃のフナの記憶がある。先日、かわいがっていたオランダ獅子頭の金魚「チョビ」が死んだ。チョビの亡骸は美しく、動かなくなったことをいいことに、チョビを描いてみた。その後、チョビは干乾びて、頭のコブはしぼみ、日に日にフナの形に近くなっていた。泳ぎの下手だったチョビは金魚の天国でフナのようにスイスイと泳いでいるだろうか?一つの小さな死が、僕の作品に影響を与え、表現させ、また多くの人に影響を与える。


ふかほり4


そしてまた僕は考える・・・・・・そんなたくさんの小さな死が集まる金魚の天国は、さぞや儚く死んでいった金魚たちで賑わっていることだろう。まるで金魚の巣のように。


ふかほり6