魚文字(11)
魚マークはやわらかい?お店ばかりとは限りませんよ。
ちょっとレトロですが、蓄音機などのゼンマイを作っている会社の製品ロゴです。
■魚印高級ゼンマイ
本品ヲ模造販売シタルモノハ、特許法ニヨリ処罰セラルベシ
材料は英国エフィンガム会社特製品を使用し焼入はすべて電熱により、工程厳密を極めたるが故に絶対に切断する事なく且つ強力なり
尺長.分八.A蓄日
お志らせ
万一魚印ゼンマイが使用前又は使用后間もなく切断した場合はその一本を新しいゼンマイ二本と御取替申上げます(御取替は御買上の店から致します但し魚の刻印なきものは御取替いたしません)
「尺長、分八、A蓄日」は戦前のものなので右から読みます。
日蓄とは明治40年に設立された日米蓄音機製造が43年に日本蓄音機商会と改称された蓄音機会社のことです。ニッチク【日蓄】の蓄音機とニッポノホンレーベルのレコードを生んだ日本コロンビアの前身です。 
■広島ヤスリ製造所「魚地球印」精密ヤスリ
ヤスリの語源は、昔、弓矢の矢尻を研ぐ道具として使われた事から、矢をスル(ヤスリ)となったという説があるそうです。国産は「魚地球印」「ツボサン」「北岡ヤスリ」・・・等たくさんありますが、国産ヤスリの95%以上が、広島県呉市仁方(にかた)地区で生産されています。そこでは、焼き入れする時、水分の蒸発を防ぐため、味噌を付けて焼き上げているらしく、どの工場にも味噌を焼く香ばしい匂いが漂っているそうです。
「魚地球印」って、おかしいなあ・・・と思っていたら
■スイスに居を構える「バローベ社」は、宝飾職人御用達の素晴しい精密ヤスリと糸ノコの二枚看板で世界中にその名を知られるパイオニア中のパイオニア。英国のモデラー、トニー・グリーンランド氏をして「ここの製品が世界で最も優れていると確信している」と言わしめた代物です。通常の2倍の工程を経て製造される同社のヤスリは、素材とその焼き入れ(硬度と耐久性)、目立て(刃の切削力)、いずれもが比類なき高精度。ぱっと見た目でもうそのレベルの高さが腑に落ちるような、ホレボレするような「プロの道具」の面っ玉をしていますが、真の実力の程は一度でもお使いいただければすぐに納得。
ダメなヤスリは「削る」というより「キズをつけている」感覚なのに対し、同社の製品は「削る」というよりは「切る」といった表現がしっくりきます。目立てがビシッと揃っているので、余計な傷がつかず、また切削カスも非常に細かくなりますので、見た目かなり目詰まりを起こしているように見えても切削力が落ちません。基本的に金工を目的としているものなので、プラやそこらをザクザク削っている程度ではそう簡単に目はつぶれやしません。もちろん、保管が悪ければサビもしますし、いつかは寿命を迎える道具ではありますが、求められる緻密な「仕事」に対してこれほど誠実に応えてくれる「実力のあるツール」はそうそうあるものではありません。正規の純正品(アジア向けの正規品には商標である「魚印」の刻印が入っています。ちなみにヨーロッパ向けは「ウサギ印」)。
「魚地球印」はこの「バローベ社」のロゴを真似た?のではないでしょうか。どちらにせよ、「ヤスリ」に魚のロゴとは・・・ひょっとしたら「ウロコ」のザラザラ感と「ヤスリ」を重ね合わせたのかもしれませんね。「ゼンマイ」の方は???謎です。







