ぎょ(190) | すくらんぶるアートヴィレッジ

すくらんぶるアートヴィレッジ

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

ガラスの魚(7)


ガラスエビ1


■ガラスエビ その名のとおり体が透き通っており、「ガラス細工の芸術品」といった風情をもっています。このエビの正体はイセエビの子供─プエルルスなのですが、漁師さんはもとより、ほとんどの人が目にすることはありません。定置網に混入する海藻片から見つかることが稀にはあるものの、イセエビ漁の中心的な漁具である刺網には、大きさが3cm程度のガラスエビは、物理的に網掛かりしないからです。


ガラスエビ2

毎年5月頃、雌のイセエビはオレンジ色の卵をお腹に抱え込み、クモのような形をした子供─フィロソーマ幼生を孵化させます。フィロゾーマ幼生は大きさ約1~2mmで親の姿からは想像できないですが、昆虫のクモのような形をしています。体は透明で、よく観察をすると、突き出た眼や長い脚を持っていることがわかります。彼らは泳ぐ力が弱いため、潮流に身を任せながら、沖合へ流されていきます。


フィロゾーマ


その後、脱皮を繰り返して1年ほど海を漂った後、ガラスエビに変態、沖合からの潮流に助けられながら、泳いで接岸してきます。1回脱皮すると、皆さんがよく目にするイセエビそっくりの姿形になり、その後も脱皮を繰り返して、どんどん大きくなっていきます。プエルルスというのは、イセエビ類の幼生の名称で、稚エビへと脱皮変態する直前の段階の幼生のことです。小さいながらもイセエビの親とほぼ同じ形をしています。体は眼などの一部を除いてほとんど透明なことから、ガラスエビと呼ばれることもあります。


ガラスエビ6


このプエルルスには、沖合から沿岸へと泳いでくる遊泳期と、沿岸域の適当な場所で稚エビへの脱皮準備をする着定期の2つの生態的に区分されるステージがあります。プエルルス幼生に変態後、さらに脱皮を繰り返し、約1~2週間程で稚エビになり、それから約2~3年で親エビになります。


ジュニア