鱗話(10)
■楯鱗
ザラザラして、荒れている肌のことを「サメ肌」と言いますが、実際のサメも触るとザラザラした手ざわりです。サメのウロコは楯鱗(じゅんりん)と言い、サメの歯と同じものでできています。拡大してみると小さな突起がたくさんあるのがわかります。
ザラザラとしたサメの肌は、昔は刀の柄(つか)などの武具として活用されていました。
また、わさびをおろすのにも使われています。
最近ではサメ肌の構造をまねして水の抵抗が少なく、早く泳ぐことができる水着も開発されています。サメが体の形状は悪いが速く泳げるその秘密はサメの皮膚にあります。一方向に規則正しく平行に並んでいる小さなV字型の溝があります。この溝が泳ぐ時に微妙な渦を発生させ、これが水の整流効果を生み抵抗を小さくしています。このような特性を水着に応用したのが「サメ肌水着」。
よく見ると表面にサメ肌を応用した細かい溝が無数にプリントされています。この深さ0.1mmのV字型の溝は、選手が泳ぐ時小さな渦を発生させます。また水に触れると浮き上がる鱗模様は溌水部と非溌水 部がある為表面部を流れる水に速度差が発生し、ここでさらに渦ができ、双方の渦による整流効果で水の抵抗を減らすというしくみです。実際に泳いだ際の抵抗はアトランタ5輪より7.5%減、まさにテクロノジーを着て泳ぐという感です。
深海鮫は、光も届かず、低温で、しかも酸素が薄い厳しい深海で生存するため、内臓のほとんど(約90%)が肝臓で占められています。この巨大な肝臓から取れる肝油には、健康維持にかかけない成分スクアレンが大量に含まれています。サメヒレ軟骨から抽出した食用コンドロイチン粉末は、豊富な蛋白質とムコ多糖体が含まれており、健康補助に最適な優れた食品です。
鮫って、なかなかスゴイですよね。