ブリキ話(10)
以前、クレーの「金色の魚」を紹介したおり、「銀色の魚」という作品はないかなあ・・・なんて書きましたが、そもそも魚の「うろこ」は「銀鱗」と言われ、ことさら「銀色の魚」なんて作品を描く人はいないよなあ・・・と思っていましたら、ありました。
デッサンの神様・安井曽太郎さんの作品です。題名は「銀化せる鯛」です。干からびた・・・という意味でしょうか、「銀化」なんてシャレた表現ですね。
宝石の金銀ではありませんが、ブリキの美しさにひかれたのも「銀」だからです。これまでの「CD-ARTS」も「銀」でしたし、蝶に取り組んでいた時もアルミ缶の「銀」にひかれて蝶を制作していたわけです。まあ、私の人生としては「金」メダルというよりせいぜい「銀」メダルなわけですから、ちょうどお似合いなのかもしれません。
さてさて、魚を食べるにあたって「うろこ」は邪魔ものです。まず「うろこ」をはがします。器具の名前は「うろこ落とし」だそうです。この「うろこ」ですが、成分はコラーゲンとカルシウムということで、最近では健康食品として研究が進んでいるということです。「うろこ」は魚だけでなく、いろいろな動物が身にまとっています。大切な役割がいろいろあるようですが、「ころも」「よろい」などにも通じる音感です。
そうそう、私たち「すくらんぶる」の発生地である大阪狭山市は、北条氏がおさめていました。その家紋こそ「鱗紋」なのです。この場合の「うろこ」は「さかな」を意味するというより、三角形の連続模様を「うろこ」と見なして名付けられたようです。子孫繁栄にまつわる出来事・故事によると、どうやら「蛇」の「うろこ」にあやかっているらしい。気になるのがこの鱗紋、底辺の長い二等辺三角形なんです。私がデザインしたらきっと正三角形にしたことでしょう。きっと、何か意味があるに違いありません。
その理由というか、意味がわかったら、ひょっとしたら「眼から鱗・・・」だったりして。