さらに最近の映画を紹介しておきましょう。
■パピヨンの贈りもの(2002フランス映画)
監督・原作・脚本:フィリップ・ミュイル/製作総指揮:フランソワーズ・ガルフレ/製作:パトリック・ゴドー/出演:ミシェル・セロー、クレール・ブアニッシュ、フランソワーズ・ミショー/時間:85分
パリで気ままな一人暮らしを送る老人、ジュリアンは、趣味の蝶の蒐集に没頭する日々だ。ある日、彼のアパートに8歳の少女、エルザと母親が引っ越してきた。25歳の若い母親は看護助手の仕事や友達付き合いなどで忙しく、放課後のエルザはいつもひとりぼっち。見かねたジュリアンはエルザを自分の部屋に招き入れた。けれども、エルザは入ってはいけない秘密の部屋の扉を開けてしまい、すぐに追い出されてしまう。そこは大切な蝶が舞う花と緑のガーデンだったのだ。そんな折、フランス南部のヴェルコールの山に幻の蝶“イザベル”が現れると聞いたジュリアンはさっそく車で出発。ところが、まもなく大変なことに気づく。エルザがこっそりと車に隠れていたのだ。どうしても山に行きたいというエルザ。母親と連絡もとれず、仕方なく承知するジュリアン。こうして、少女とおじいちゃんの旅が始まった。一方、翌朝帰宅したエルザの母は、娘の不在に気が動転し、すぐに警察に連絡、街に“エルザ誘拐事件”のニュースが駆け抜けた。
■天国の青い蝶(2004カナダ・イギリス映画)
監督:レア・プール/出演:ウィリアム・ハート、マーク・ドネイト、パスカル・ブシェール、ラオール・トゥルヒロ/原作:ピート・マコーマック(著)、田渕久美子(訳)/時間:98分
10歳の少年、ピート・カールトン(マーク・ドネイト)は末期の脳腫瘍に侵され、もはや余命いくばくもない体だった。「どうして、僕だけが……」。外で遊ぶ他の少年たちを見ながら、彼は自分の不運を嘆く。しかし、そんな彼にも、かなえたい夢があった。それはこの世でもっとも美しい青い蝶、ブルーモルフォに、自分自身の手で触れること。蝶が大好きなピートは中南米の熱帯雨林にしか生息しないその幻の生き物を、命あるうちに見たいと願っていた。息子の願いを知った母親テレサ(パスカル・ブシェール)は、彼をモントリオールにできたばかりの昆虫博物館へ連れて行く。ピートが尊敬してやまない世界的に有名な昆虫学者アラン・オズボーン(ウィリアム・ハート)に会わせるためだ。ピートの願いをかなえてくれるのは彼しかいない。しかし、アランは見知らぬ少年に対してそっけない態度を見せる。車椅子にのった病気の子どもをジャングルに連れて行くなんて無茶な話だ。第一、ブルーモルフォを見られる時期はあと一週間で終わってしまうではないか。だがピートはあきらめなかった。アランの留守番電話に、ひとりで探しに行くとメッセージを残し、彼は空港へ向かう。心配したアランがピートの家を訪ねると、ちょうど警官に保護された少年が戻ってくる。アランはそんなピートの熱意に打たれ、彼の願いを聞き入れる決心をする。