私の蝶書(72) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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良寛さんに美しい漢詩がある。

花無心招蝶     花は無心にして蝶を招き
蝶無心尋花     蝶は無心にして花を尋ぬ
花開時蝶来     花開くとき蝶来たり
蝶来時花開     蝶来たるとき花開く
吾亦不知人     吾また人を知らず
人亦不知吾     人また吾を知らず
不知従帝則     知らず 帝の則に従う

次の画像は別の漢詩ですが、胡蝶の字が見えます。

良寛

初夏四月、ひらりと僧衣を着て出かけた。岸辺には柳が色濃く茂り、向こう岸には桃やスモモの花が風に飛んでいる。道すがら野の草を摘んで、飾り気のない家を訪ねてみる。蝶は南向きの庭に飛びまわり、菜の花は東側の垣根を遶るように咲いている。私の気持ちはゆったりとしていて、昼の日は長く、この土地は田舎で自ずから珍しい趣を示している。私は生まれつき風流を好むため、句を拾い集めると自然に詩が出来あがった。