ずいぶん回り道してきましたが、久し振り?にレオナルド・ダ・ヴィンチにもどりましょう。
レオナルドの師匠は、自然でした。自分の目で見、肌で感じ取ったことだけを信用し、つぶさに記録したのです。空を飛ぶ鳥に出会えば、その羽がなぜ空気をつかめるのかを考え、川の流れを目にすれば、こんなことを考えました。水は生命の源である、だから水を糧に生きる植物も水の形をしているのだ。波がもつ奇妙な性質をレオナルドは夢中になって観察し、研究をしました。ヘルムホルツ、ケルビン、レーリー、ポアンカレも波と流れの関係に関心をもっていました。これはまとめて「乱流」(タービュランス)の研究というもので、たとえば川の流れのどこかに岩があると、その背後にどのような渦ができるかということを、なんとか法則的に解明しようとしたわけです。その渦はよく見ると、さらに小さな渦を生み、そこへ川の流れがやってくると、まるで渦を食べるかのように流れの姿も変わっていくのです。