夕暮れに見る電信柱や無造作に各家庭を結ぶ電線は、とてもノスタルジックで雀など小さな鳥たちが行き交う姿は詩情をかきたてるものです。電信棒、電柱とも呼びますが、町の景観が壊れるからと地中に埋められることも多くなってきました。木材の電信柱、枕木などはもう見ることもありません。マラソン選手は電信柱を見るたびに、次の電信柱まで、そしてまた次の電信柱までと自らを奮い立たせながら42.195kmを走ると聞いたことがあります。犬たちにとっては大切なテリトリーのマーキング場所でもあり、様々な広告や案内の掲示板でもあり・・・迷子や尋ね人の伝言板でもあり、そうそう未だに発見されていない誘拐された子どものこと・・・忘れずに、電信柱に刻み込んでおかなければ。宮沢賢治さんの「月夜の電信柱」、どういうわけか、二本のはしらがうで木を組んで、びっこ(ママ)を引いていっしょにやってきました。そしていかにもつかれたようにふらふら頭をふって、それから口をまげてふうと息を吐き、よろよろ倒れそうになりました。「ドッテテドッテテ、ドッテテド、でんしんばしらのぐんたいははやさせかいにたぐいなしドッテテドッテテ、ドッテテド、でんしんばしらのぐんたいはきりつせかいにならびなし」