「五代目江戸家猫八 襲名披露興行」に行ってきました! | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」

2023年3月25日。

 

五代目・江戸家猫八さんの襲名披露興行に行ってきました!

 

会場は上野鈴本演芸場。

 

五代目猫八さんとは大学院時代の学友で、雑誌『かがり火』の連載記事で取材もさせてもらいました。

 

 

知り合った頃はまだ「そのうち小猫」さんでしたが、当時からその洞察力の深さにはいつも驚かされていました。そんな僕の大尊敬する小猫さんが、ついに猫八を襲名……!この歴史的瞬間を見逃すわけにはいかないと、さっそくチケットをゲットしたのでした。

 

 

 

寄席の時間はけっこう長丁場で、落語に漫才、奇術に曲芸など、たくさんの噺家さん、芸人さんたちが登場。めでたい席ということもあり、舞台と会場の一体感がすごかったです。

 

林家正蔵さんらテレビでも見知った師匠方も登場し、実に華やかな盛り上がり。演芸界の大御所たちも、五代目の襲名を心から祝い、応援していることが伝わってきました。

 

もちろんそれは、猫八さんの芸に対する真剣さあってこそ。そして何より、彼の芸が「本物」だということを、みなが知っているからこそでしょう。

 

猫八さんの芸をまだリアルで見たことがない方は、ぜひ演芸場に足を運んでみてください。彼のウグイスは、比喩でもなんでもなく鳥肌モノですよ。僕は何度聞いても感動してしまいます。

 

そして「感動」といえば、やっぱり五代目襲名の口上の場面。

 

師匠方の口上を聴いていると、そんなつもりは全くなかったのに、なぜか涙があふれてきました。

 

いや、師匠方はむしろ笑いを取りにきてるし、僕もいちいち笑ってしまっているのですが、なぜこんなに涙が止まらないのか、自分でも全くわかりませんでした。

 

けれども、口上も終盤にさしかかったころ、ようやくその理由がわかった気がしました。

 

僕がこんなことを言うのはおこがましい気がしますが、会場で同じように感じていた人もいる気がしています。何か確証があるわけでもないので、ここは適当に聞いて欲しいのですが。

 

この口上の場に、先代の猫八さん、つまり、五代目猫八さんのお父さんの存在を感じたのです。

先代は若くして亡くなられましたが、誰よりも五代目猫八の襲名をよろこんでいるに違いありません。むしろこの会場に来ていないはずがないのです。

 

そのお父さんが、ただただ、会場のお客さんのほうに向かって、「五代目猫八をよろしくお願いします」と、何度も深く頭を下げている。そんな姿が見えたような気がしたのです。

 

こんなに愛にあふれた寄席があるのか……。

 

おそらく会場にいた全ての人が、あの奇跡のような空気感を、それぞれのかたちで受け取っていたと思います。

 

そしてもちろん、当日の猫八さんの芸も最高でした。僕は猫八さんの舞台は4、5回くらいしか見ていませんが、爆笑しなかったことが一度もありません。動物の鳴きまねを聞いていると、いやなことなんてすっかり忘れて元気になってくる。これは一体何なのでしょうか?(笑)

 

口上の中で、ある師匠が猫八さんを評し、「襲名以前から、芸はすでに猫八の域に達していた」ということをおっしゃっていて、いや本当にそのとおり、と膝を打ちました。

 

この襲名披露興行、いまは池袋演芸場で開催中で、5月11日からは国立演芸場に場所を移すとのこと。彼の芸をひと目見たら、誰もが猫八ファンになること請け合いです。

 

これから猫八さんの芸は、さらに高みを極めていくでしょう。「俺はあの猫八の襲名披露興行に立ち会ったんだぜ」と、僕は一生自慢するつもりです(笑)。

 

猫八さん、五代目襲名、本当におめでとうございます!

 

江戸家小猫 改メ 五代目江戸家猫八 襲名披露興行
池袋演芸場 4月21日(金) 〜
国立演芸場 5月11日(木) 〜
■チケット販売中・購入方法の詳細はこちら
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■お問い合わせ
落語協会 03-3833-8565