安藤なつ・太田差惠子『弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』を読んで | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」

カズレーザーと結成した「メイプル超合金」で知られる安藤なつさん。実はヘルパー2級の資格を持ち、20年以上も介護職に携わってきたという。

 

本書では、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、安藤なつさんにさまざまな「介護のおトクなサービス」をレクチャー。親の介護の不安を具体的に解消してくれる、心強い一冊である。

 

ちなみに僕の両親はといえば、70歳を過ぎてもまだまだ元気。「自分にはまだ少し早いかな……」と思っていたのだが、たまたま著者の太田さんから本書をいただける幸運に恵まれ、これはご縁とばかりにさっそく読んでみた。

 

結果的に、このタイミングで読めて本当によかった。これまでは漠然としたイメージしかなかった「親の介護」だが、具体的な「やるべきこと」がいくつか見えてきて、少し安心できた。

 

なにはともあれ、まずは「地域包括支援センター」に相談に行けばいいんだな、ということがわかっただけでも、心の持ちようが全然変わってくる。なんでも大切なのは最初の一歩だ。その上で、出てくる課題について本書を参照しながら対応していけば、ひととおりなんとかなりそうだ。

 

僕の場合、兄弟が実家の近くに住んでいるのでありがたいのだが、とはいえ、本を読んだり情報を集めたりするのが得意なタイプではなさそうなので、そこは僕がやらないといけない気がしている(決して僕が得意なわけではないのだが)。その意味でも、この本はお守りがわりになりそうである。

 

特にお金の問題は避けて通れないので、そこを詳しく書いてくれているのも心強い。介護はさまざまな制度に支えられているので、「知っているか、知らないか」だけで、ずいぶん大きな差が出そうだ。

 

本書はKADOKAWAから出版されていることもあり、もしかすると、本書を題材にしたドラマなんかもできるんじゃないか、という予感もする。

 

介護の期間は多くの場合、「気合いで乗り切る」にはあまりにも長すぎる。長期戦に備えるべく、まずは、本書を片手に態勢を整えるのが吉だろう。

 

あるいは、あらかじめ本書を親に渡しておくのもよいかもしれない。同じ小説を読んだ人とは少し距離が縮まるように、介護においても、本書を通した「共通言語」を持てたら最高だと思う。