「矢田海里@バルとお話の日」のご報告 | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」

5月26日の夜、かがり火WEBオープン記念「矢田海里@バルとお話の日」が開催されました。
 

飛び入り参加の方も何人かいらっしゃって、少し余裕があるかな?と思っていた会場はすっかり満員御礼となりました。

 

まず参加者みんなで簡単に自己紹介し、その多様なバックグラウンドにお互い興味をひかれつつ、矢田さんのお話がスタート。会場がバルということもあり、客席と矢田さんとの掛け合いの中で話が展開しました。

 

参加者の中には、東日本大震災の被災地と関わりの深い方もおられたので、まず矢田さんがライフワークとして通っている、宮城県の閖上地区のお話を聞かせていただきました。その流れから、矢田さんの活動の原点とも言える「アメリカ横断の旅(アクロス・アメリカ)」のお話へ。

 

「なぜ戦争はなくならないのか?」と書かれたチラシを配りながら、イラク戦争下のアメリカを自転車で横断するという大胆な旅。「戦争は絶対にいけない」という人もいれば、「戦争やむなし」という人もいる。しかしそんな中で矢田さんは、次第にそれぞれの答えの背景にある、一人ひとりのライフストーリーの方に惹かれていきます。

 

「戦争の是非」という抽象的な議論からは見えてこなかったその人の「顔」、すなわち「一人ひとりの切実な生活」が見えてきたといいます。そしてそこにこそ、矢田さんが求める「人間とは何か」という本質的な関心もありました。

 

 

考えてみれば、現代の戦争はお互いの「顔」が見えない形で行われます。矢田さんのお話を聞いて、「もしかすると、お互いの顔が見えない社会の在り方こそが、現代の戦争を支えているのかもしれない」と思わずにはいられませんでした。だとすれば、「顔の見える関係」としての「地域」は、実は「戦争」をテーマに考えた時にも非常に重要なものなのかもしれません。

 

矢田さんは今も、被災地である閖上地区という場所で、一人ひとりとの「顔の見える関係」を大切にしながら取材を続けています。そこには、アメリカ横断というスケールの大きな旅によって深まった、彼の思想が反映されているような気がします。

 

気づけば予定時間を1時間以上もオーバーしていた矢田さんのお話。そのまま飲み会に入ってからも議論は尽きず、結局23時過ぎまで歓談は続きました。矢田さんも含め、みんな「面白かったー!」と言って帰ってくれたのが何よりでした。

 

矢田さんのアメリカ横断の旅「アクロス・アメリカ」は、矢田さんのホームページに全文掲載されていますので、ぜひ読んでみてください。めっちゃ面白いですよ!個人的にはぜひ書籍化していただきたいです。
 

以上、つたないご報告でした。面白いお話をしてくださった矢田さん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました!