規則正しい生活と安全基地 | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」

いま、メイソン・カリー著

『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』

という本を読んでいる。

 

この本の副題にもあるように、

クリエイティブな作品の多くは、

そのイメージとは反対に、

地味で規則正しい生活の中から

生み出されているらしい。

 

本書の中のどこかでも、

 

「規則正しい生活をするほど、

 より狂気に満ちた作品を作ることができる」

 

というようなことが書かれていた気がする。

 

これはもしかすると、

心理学でいう「安全基地」の考え方と

共通するものがあるのかもしれない。

 

「安全基地」とは、

アメリカの心理学者、

メアリー・エインスワースが

提唱した概念で、次にように説明される。

 

「子供は親との信頼関係によって育まれる

『心の安全基地』の存在によって外の世界を探索でき、

 戻ってきたときには喜んで迎えられると

 確信することで帰還することができる」

(ウィキペディアより)

 

自分が心から安心できる

場所や関係性を持っているほうが、

より積極的に冒険できる、

というような考え方である。

 

これは子どもだけでなく、

大人にも適用されるという。

 

そして作品づくりにおいては、

「規則正しい生活」というものが、

この「安全基地」の役割を

果たすのではないか。

 

クリエイティブな作品づくりには、

ある意味で「終わり」がない。

 

いいものを追求しようとすれば、

永遠に追求し続けられるだろうし、

その日の調子によっては、

いつまでたっても作業が進まない、

ということもあるだろう。

 

そんな不安定なプロセスの中に、

規則正しい生活は一定の秩序を与えてくれる。

 

どれだけ調子が悪くても、

「今日はここまで」

という一線を担保してくれる。

 

このことが作家の心に安心をもたらし、

より冒険的な作品への意欲を

生み出すのではないか。

 

……と、

こんなことを午前3時に書いている僕も、

安全基地を求めて直ちに

ベッドへ潜り込むこととしよう(笑)。

 

 

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