パラレルワールド | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」

パラレルワールドという考え方がある。

 

これについては過去のブログでも

少しだけ書いたことがあるが、要するに、

 

「いま僕らが住んでいる

 この世界とそっくりな世界が、

 実はどこかに平行して存在している」

 

とする説である。

 

一見ただのファンタジーのように思えるが、 

量子論の世界では、

このパラレルワールドの存在が

ひとつの仮説として認められている。

 

いわゆる「多世界解釈」というやつである。

 

そういう難解なことは置いておいても、

そもそも僕たちはそれぞれに

この世界を「解釈して」生きている。


物理的には同じ世界に存在していても、

「世界はバラ色だ!」

と思って生きている人もいれば、

「いやいや灰色です……」

と思って生きている人だっている。


もちろん、

「緑色だ」という人も、

「ピンクよ」という人も、

「真っ黒だぜ」という人だっているかもしれない。

 

同じ出来事を目にしても、

それをプラスにとらえる人もいれば、

マイナスにとらえる人もいる。


つまり、僕たちは「同じ世界」を生きていながら、

「それぞれの世界」を生きているのである。

 

だとすれば、他者との関わりは、

異世界との遭遇であり、

その世界にふれることは

一種の「旅」のようなものだろう。

 

わざわざ海外に行かなくても、

すぐ身近に「他者」という異世界が

広がっているということに、

僕らはあまり気付かない。


いわゆる「旅好き」という人はたくさんいるが、

ここでふれているような「他者」を

意識的に「旅する」人はあまりいないように思う。

 

せっかく自分の知らない世界が

目の前に広がっていても、

人はそれをカンタンに無視することができる。


旅に出ることをせずに、
自分の世界だけに目を向ける。


それは、他者を旅するための

「パスポート」を手にしていないからである。

 

そのパスポートを得るのにお金はいらないし、

誰かに審査される必要もない。


そもそも申請する必要がないし、

いつのまにかもう持っている、

という人だっている。

 

そのパスポートとは何かといえば、

それは「肯定する」ということである。


人は他者を肯定することで、

はじめてそこに広がる異世界を

旅することができるのである。


肯定することによってはじめて、

他者の世界を自分の世界に迎え入れることができる。

 

とうてい自分には

理解できないと思っていた文化が、

相手にとってはかけがえのないもので

あることがわかる。


そしてその想いが、

実は自分と無関係ではないということも。

 

ウソでもなんでも、

いったん相手をまるごと肯定してみる。


そこから見えてくる世界が必ずあるのである。

 

しかもこの「他者を肯定する」

というパスポートは、 

実は自分自身を旅するときにも使える。


自分自身をまるごと肯定してあげたとき、

それまで気付かなかった世界に気付くことができる。


そのとき僕らは、

「今までオレのこと何もしらなくてごめんよオレ」

とついつい言いたくなるかもしれない。

 

……などと思いつくままに書いてきてしまったが、

要するに世界には人の数だけ、

「パラレルワールド」が広がっている、

ということである。


しかも僕らはその世界を行き来する

パスポートをいつでも手にすることができる。

某「有名テーマパーク」の年間パスポートは
年々値上がりしているようだが(笑)、
こちらのパスポートはいつだって無料である。

 

(2012年2月12日(日))

 

 

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