十条は猫の町だ。
十条駅から僕の家までおよそ徒歩15分。
猫と出会わずにたどり着くことは不可能である。
先日は家から赤羽駅まで自転車で走ったのだが、
その間に遭遇した猫はおよそ12匹。
下手をするとすれ違う人間の数より多い。
僕は猫に出会うと
たいてい話しかけるようにしているのだが、
猫には猫の地域語のようなものが、
どうやらあるらしい。
というのも、
僕が十条に引越してきてすぐの頃は、
僕が話しかけても
全く返事をしてくれなかったのである。
いや、それどころか「完全無視」といった感じ。
その前に暮らしていた地域の猫は、
僕が話しかけると、
ちゃんと返事をしてくれていたのに。
しかし十条に暮らして1年くらい経つと、
ようやく猫たちが反応してくれるようになった。
「え?いましゃべったのお前?」
と言わんばかりに。
2年もすると、
仲のいい猫はときどき
遊びに付き合ってくれるほどに。
十条の猫の鳴き声を
何度も聞いているうちに、
この地域の「方言」が少しだけ
わかってきたような気がする。
目標は、いつか彼らの
「夜の集会」に参加することである。