これ以上身長が伸びることはない。
それだけならいいのだが、
「じゃあ代わりにオレが!」とばかりに
勝手に成長してくるヤツがいる。
そう、オナカ(別名「下腹」)である。
「ぽっこり」という形容詞抜きには
語れなくなってしまったこいつの姿に、
いまやいとおしささえ感じる。
しかしコイツが日常生活にきたす弊害は
無視できるものではない。
これまで履けていたズボンが履けない。
シャツのボタンが勝手にはずれる。
カラオケ全力で歌うときには
ベルトもチャックも全開にしないと苦しい。
「安心してください、履いてますよ!」
のネタが完全にできるようなる。
などの弊害だ。
「これは何とかしなければ!」と思ったときに、
天啓のように思いついたダイエット法がある。
それが、
「コバンザメダイエット」
である。
その内容についてカンタンに説明しよう。
まず「コバンザメ」について。
このサメは背面に小判型の吸盤がついていて、
それ使って大型のサメなどにぴったり吸いつく。
そうして自分で泳ぐことなく、
ラクしてエサのおこぼれなどをいただくという、
じつにセコい手法を使うサメだ。
「コバンザメダイエット」は、
この手法をダイエットに応用した、
いわば「セコい」ダイエット法である。
ダイエットにおいてもっとも重要なのは
その内容にかかわらず、
「習慣化する」ということだろう。
だがそれが一番むずかしい。
そこで「コバンザメダイエット」の出番である。
習慣を新たにつくるのはむずかしいが、
「すでに習慣になっていること」の
一つや二つは誰にでもあるだろう。
たとえばそれは
「ランチを食べる」でもいいし、
「風呂に入る」でもいいし、
「寝る前に歯を磨く」でもいい。
これら既存の習慣を「大きなサメ」に見立てて、
その前後に新しい習慣(コバンザメ)をくっつける。
つまり、
「すでに習慣化していることと
セットにすることで習慣化する」。
これが「コバンザメダイエット」のキモである。
たとえばぼくの場合、
スクワット or 腹筋
【ランチ(既存の習慣)】
アイスクリーム食べない
スクワット or 腹筋
【晩ごはん(既存の習慣)】
アイスクリーム食べない
スクワット or 腹筋
【風呂入る(既存の習慣)】
体重計る
といった具合だ。
見ていただければわかるように、
くっつけるのは「する」ことだけでなく、
「アイスクリームを食べない」のように、
「しない」ことでもいい。
あらかじめ言っておくと、
この「コバンザメダイエット」の手法は
ダイエットだけではなく、
勉強などにも使えるのでオススメだ。
というわけで、ぼく自身が
さっそく1ヵ月ほど実践してみた。
まず体重計を買うところから始めたのだが、
タニタの体重計

まず安くてデザインもシンプルだし、
乗ると勝手に電源がついて、
降りると勝手に電源が切れるので、
ストレスを全く感じない。
こう書くとタニタの回し者のように
思われそうだが(笑)、
「体重さえ計れればいい」
という人にはぜひオススメしたい。
さて目標体重だが、
最初のハードルは低く設定した方が
挫折しなくていいだろうということで、
「1ヵ月でマイナス1.5キロ」とした。
それでも10ヵ月続けば
マイナス15キロになってしまうのだから、
これでもじゅうぶんなペースだろう。
そして最初に計った体重が
67.4キロだったので、
目標体重は65.9キロとなる。
しかも正月明けの1月10日という、
おそらく最も体重が増えている時期から
始めるという念の入れようである(笑)。

さて結論から言おう。
1ヵ月後の2月10日。
風呂上がりに体重計に乗ったその結果は……。
66.0キロ。
マイナス1.4キロだった。
「あと0.1キロ足りない!!」
全く無理ならあきらめもつくが、
あと0.1キロとなればなんとかしたい。
ひとまず風呂上がりで濡れた髪を
もう一度しっかり拭いてみたが、
それでも体重は変わらない。
尿意もないのに
無理矢理小便を出してみたが、
それでもやっぱり変わらない。
全裸のまま右往左往している自分の姿に
「一体オレは何をやってるんだ……」
と疑問を感じつつも、
ここであきらめるのはなんだか悔しい。
尿意はもうゼロだし、
大も出る気配はない。
あと出せるものといえば……。
「ツバだ!!」
洗面所に行って
「ペッ!ペッ!」とこれまた無理矢理に
ツバを吐き続けた(きたなくてすいません)。
全裸で冷えきった身体を
引きずりながら体重計に乗ると、
「66.0」と「65.9」の間を
チカチカと行ったり来たりしている。
「よし来い!!」
まるでスロットのように、
最後はなんとか「65.9」で確定。

「やったぜ!!」
こうして無事に(?)
目標達成となったわけだが、
みなさまに告白しておかねば
ならないことがある。
ここで提案した
「コバンザメダイエット」の手法だが、
実は始めて10日目くらいで
続かなくなってしまったのである。
「ランチを食う前にスクワット」
も最初はできていたのだが、
いつのまにか
「スクワットのことなど
すっかり忘れてランチ完食」
ということが頻発するようになり、
しまいには全くやらなくなってしまった。
「コバンザメダイエット」の構想を
周りの女子たちに話した時の、
あの微妙な表情の意味を
ようやく思い知った次第である。
しかしそんな中でも
「(食後に)アイスクリーム食べない」
「体重計に乗って記録する」
ことだけは続いた。
なんとか目標を達成できたのは
このことのおかげだろう。
というわけで
「コバンザメダイエット」の結末は
微妙なものとなってしまったのだが、
もうひと工夫すればもう少し使い物になる
ダイエット法になるような気もする。
そうしていずれは
『コバンザメダイエット』の書籍化を
実現したいところである。
ダイエットには何より動機が大事だが、
「ダイエット本を出版する!!」
というのもひとつの動機になりうるだろう。
「ダイエット本を読んで痩せた」
という話はとんと聞いたことがないが、
「ダイエット本を書いた」人たちは
例外なく痩せているわけである。
そう考えれば、
「ダイエット本とは
読むものではなく書くものである」
という格言を設定しても
あながち間違いではないだろう。
というわけで、
『コバンザメダイエット』出版を目指し、
もう少しダイエットについて
研究してみようと思う。
次の目標は、
「3月10日に
(マイナス
※これを書いた翌日にさらに下げました(笑)
ハードルは低く、低く。
なんなら土の中に埋めてしまう勢いで
いきたいところである。

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