蔡國強展「帰去来」(横浜美術館) | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」
横浜美術館で開催されている、
蔡國強展「帰去来」

たまたま学生時代の先輩に
チケットをいただいたので、
遊びがてら横浜まで行ってきた。

じつはこの展示、
テレビで紹介されているのを見て、
ずっと気になっていたのだ。

「帰去来」というタイトルからも
予感されるように、
「帰っては去り、去っては来る」
というような「循環」をテーマに
しているようなことを聞いて、
面白そうだなーと思っていた。

なかでも特に見たかったのが、
チケットのデザインにもなっている
「壁撞き」。





99体のオオカミが、
透明の壁に向かって繰り返し
突っ込んでいく様が表現されている。

ちなみにその壁の高さは
ベルリンの壁とほとんど同じだという。

目に見える壁は簡単に壊せるが、
目に見えない壁はなかなか壊せない、
というわけだ。

この展示、
ぼくはてっきり全体を外側から
眺めるものだと思っていたが、
実際には展示の中まで入っていって、
間近でじっくり見ることができる
(もちろんさわっちゃダメ)。

オオカミの一体一体に個性があって、
リアルだけどなんだかユーモラス。

それでいて仲間とともに
何かを成し遂げとうとする姿は、
ちょっとうらやましくもある。

最近のトピックで言えば、
ちょうどW杯で活躍した
ラグビーの日本代表のような感じだろうか。

そのうちぼくも
いつのまにか四つん這いになって、
100匹目のオオカミとして
彼らの群れの中に加わっていた。

するとどうだろう、
むくむくと勇気が湧いてきて、
「俺も一緒に壁に挑むぜ!」
という気分になってくるではないか。

解説によると、
このオオカミには「共同体」という
意味も表現されているらしく、
確かに不思議な安心感を感じる。

もちろん周りには奇異の目で見られ、
文字通り「一匹狼」状態であったが。

いずれにせよ、
こんなにリアルに
「オオカミの群れの一員」
を疑似体験できることなど
おそらく一生ないだろう。

この展示を見に行った人には、
ぜひ試していただきたい。

横浜美術館で、
10月18日(日)まで。

一見の価値ありです。

蔡國強展:帰去来
http://yokohama.art.museum/special/2015/caiguoqiang/index.html


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