まず、この本の著者は
萱野稔人(かやのとしひと)さんである。
この本とは全く関係のないことだが、
こういう一発で読めない名前の人は
大変だなーといつも思う。
「読めない」ということは
「言えない」ということで、
それだけで他の人は少し
声をかけるのを躊躇してしまう、
ということもあるだろう。
もちろんそのことを逆手にとって
話のきっかけにしてしまうことも
できるのだが……と、
それはさておき本題に入ろう。
この『成長なき時代のナショナリズム』
編集者の方にいただいた本。
現代のナショナリズムの問題を、
日本をとりまく経済・社会状況を背景に
幅広く論じている。
著者は、排外的ナショナリズムは
「社会的・経済的パイが縮小し、枯渇している」
ことへの危機感に由来していると説き、
道徳的観点からの批判を批判する。
「従来の拡大社会の幻想を捨て、
現状を正面から正しく認識する。
そして縮小社会にあった仕組みを
地道につくりあげていく」
という方向性に私も同意する。
またときどき話題にのぼる
ベーシック・インカムへの論考は
説得力があり一読をオススメしたい。
「少子高齢化と人口減少は
日本の近代化以降、
初めての現象である。
それだけ現在は時代の
転換点にあるということだ」
という認識は、多くの人が
共有しておいてよいと思う。
各論的に賛否はあろうが、
現代のナショナリズムの問題群を
マクロな観点から網羅するために、
貴重な視座を与えてくれる一冊である。
成長なき時代のナショナリズム (角川新書)

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