以前のブログでも書いたように、
僕はザッケローニの人間性に対して、
就任間もない頃から好感を抱いていた。
ワールドカップの初戦の黒星を経験した今も、
ザッケローニへの敬意は一向に変わらない。
いや、むしろ大きくなっていると言っていい。
ザッケローニはこの試合の後、
自らの交代失敗を敗戦の要因にあげた。
記事では次のように書かれている。
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「交代のカードは
戦況を好転させる意図があって切ったが、
狙いが外れて失敗した。
もっとやるべきことがあったかもしれない」
と自らの失敗を認めた。
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2014/06/15/kiji/K20140615008372090.html
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しかし、今回の敗戦の要因がそこにあると
ザッケローニが本当に思っていたのかどうか。
僕は必ずしもそうではないような気がする。
ザッケローニは、
敗戦の責任をわざと自分に集中させることで、
選手たちをマスコミの攻撃から
守ろうとしたのではないだろうか。
ザッケローニはもともと、
こうしたことをかなり
意識的にやる監督である。
代表メンバー発表会見の時にも、
選手たちにプレッシャーをかけないことを
マスコミに促していたし、
ワールドカップ直前の休養日にも、
あえてその日に自分が記者会見を開くことで、
マスコミが選手に向かわないよう仕向けた。
もちろんこれらの配慮は、
ワールドカップで結果を残すために
必要だと思ってのことだろう。
しかしそれだけではないように思う。
ワールドカップは、
自分たちがベストを尽くしたからといって、
必ずしも勝ち上がれるような甘い大会ではない。
だがザッケローニは、
たとえどのような結果になろうとも、
それによって選手たちの将来を
閉じさせてはならないということを、
本気で考えているように思えるのである。
今大会でもすでに見られるように、
ワールドカップはどのような強豪国でさえ、
すんなりと勝ち上がれる保証はない。
しかしだからこそ、
日本にもおおいにチャンスがあるし、
それを可能にするチームを
ザッケローニは作り上げてきたはずである。
もちろんどのような結果になるかは、
最後まで誰にもわからない。
だがいずれにせよザッケローニは、
最後まで選手たちを守ろうとするだろう。
彼がこれまでに築き上げてきたキャリアの深みが、
その一点に集約されている。